俺は理解するのに時間がかかった。
だって、居ることがおかしいんだもん。
でも、大ちゃんは全てわかっていたように話し始めたんだ。
西畑「阿部ちゃんは渡さないね…目黒くん結構やるんやね」
目黒「俺、阿部ちゃんに対する愛は誰にも負けませんよ」
西畑「ふーん。俺も負けない気がするけど」
何、2人の間に見えるバチバチ感
今、何が行われてるの?
永瀬「阿部ちゃん、大丈夫?」
『えっ永瀬、なんでいんの』
永瀬「あっえっと、まぁそこは置いといて。あの2人阿部ちゃんの事大好きなんやね」
『そうなのかな』
永瀬「まぁ、俺も阿部ちゃんの事大好きやけどな」
西畑、目黒「永瀬/永瀬くん、駆け抜けはダメ」
永瀬「ごめん、ごめん。でも俺、阿部ちゃん愛はシンメ愛って事だから安心して」
シンメ愛だから安心してって
大ちゃんは俺に対するどんな愛なの?
もう、分からない
『みんな、何言ってんの?』
永瀬「そうやん。阿部ちゃん鈍感
なんやった」
『めめはわかるんだけど、大ちゃんは好きな人がいるって』
西畑「俺の好きな人は……」
永瀬は大ちゃんの口を抑えた。
永瀬「大吾、阿部ちゃんを困らせるだけや。やめとけ」
西畑「わかった……ごめん」
大ちゃんは帰る準備を始めた。
西畑「ごめん、急用思い出したから先帰るわ。阿部ちゃん、また穴埋めするから。また来よな」
阿部「あっうん。またね」
西畑「じゃあ、永瀬と目黒くんもバイバイ」
大ちゃんは泣いているように見えたんだ。
でも、俺は何にもしてあげられなかった。
何もしたらいいのか分からなかったから。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。