目黒side
亮平がいなくなってから
俺は仕事どころじゃなかった。
お客さんの前ではしっかりできるけど
終わった途端に、おかしくなる。
深澤「みんなお疲れ。今日はあがっていいよ」
ラウ「はーい。」
向井「ほな、お先失礼します」
佐久間「行こいこ」
俺も、部屋に戻り着替えて
家に帰った。
目黒「はぁ……大丈夫かな」
ベットに入ってもそう思う。
今、電話したら出てくれるのかな。
でも、こんな時間に電話するのは……
その時だった。
俺の携帯がなった。
誰かなと見ると[亮平]と表示されていた。
目黒「もしもし」
阿部「もしもし、ごめんね。遅くに」
目黒「ううん。声が聞けて嬉しい」
阿部「今はもう家?」
目黒「そうだよ。亮平は?」
阿部「俺は、今、外。家には居ないよ」
目黒「こんな時間に。俺、迎えに行こうか?」
阿部「大丈夫。まだ終わらなそうだし。ごめん。そろそろ行かないと。蓮、大好きだよ。愛してる」
目黒「……俺も」
阿部「おやすみ」
ちゅっという音が聞こえて、電話は切れた。
俺はきっと、阿部くんの知らないところばかりだ。
少しずつでもいいから、阿部くんの全てを知りたい。
阿部side
めめに電話をして、俺は仕事に戻った。
『阿部くーん♡』
阿部「久しぶり。ごめんね、寂しい思いさせたよね」
『今日って急だったけど、この日のために貯めてたの。』
阿部「ありがとう。」
俺には愛する蓮がいる。
でも、こんな感じでお客様の前に立つ時は
そんなの関係ない。
別の人間……になってる気がする。
でも、これからは
こういう顔があるって隠さないで済むんだ
さっきふっかと照に連絡して、今回のことを説明した。
「いいよ」そのような返信だった。
やっとめめに、言える。
この姿も、あるってことに。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。