今は学校。そして現在は昼食の時間。
バッグを漁っても、ない。
様々な袋の中を見ても、無い。
朝作った弁当が。
けど、薄々わかってる。
私は朝遅刻しそうになって、思いっきり風雅と競争して学校に来た。
だから弁当がぐちゃぐちゃになってると思い、
朝、学校に着いてから 弁当箱を確認した。
その時には弁当箱はあったから、
どこぞかの女子が盗んで捨てたりしたのであろう。
________________________
はぁ、めんどくさいな。
誰がこんなことしたんだろう。
弁当箱が入ってる袋は
普段食べる時以外あんまいじらないから
どこかに置き忘れた、なんて無い。
________________________
その後食べてから教室に戻って、
適当に彩と喋って。
私がトイレに行こうとした時の事。
________________________
今日は道長の分の弁当も作った。
今日こそは盗まれる訳には行かないから、
彩に預けておいた。
でも。
________________________
私は階段を降りて、
校舎裏のゴミ置き場に向かった。
朝4時起きで作った弁当が、
一瞬にしてぐちゃぐちゃにされてる。
冷凍食品は使わずに、
全部全部手作りで。
道長で好みがあるからちゃんと考えて。
その努力、全部無駄じゃんか。
最後の一言で、私は何もかもが見えなくなった気がする。
それ以降、私は学校で道長と話さなくなった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!