皆さんこんばんは!!
読み逃しの話、ありませんか!?!?
前回、伊央里までも攫われてしまいました…
※すっ飛ばしちゃった人は是非前の話をチェックしてみてください💡
そして今回は遥輝の過去が明らかに!!!!
では、スタート❗
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目を覚ますと……
俺は全身をロープで固く結び付けられ、地面に寝転ばされていた。
ここはどこだ……??
どこかの寂れた工場の跡地のようだ。
そもそも、なんでこうなった?
俺は昨日仕事を終えた後に会社のビルの地下駐車場に行って……
と、整理している時に、
「目を覚ましましたか。仙名社長」
聞き覚えのある声がした。
声のする方を見上げると、そこには偉そうに仁王立ちをする男が。
安西だ。
第10話 あの時の大学生
「お前……」
安西の横には、恐らく欧州組の手下と思われる男が複数人いた。
「君の調べは付いている。まさか君が、“あの時の大学生”とはな。君の目的はなんだ?俺の排除か?」
と言って安西はしゃがみ、俺の前髪を掴んでグイッと上に引っ張ってきた。
俺は安西の事を鋭い目付きで睨みつけた。
「あなたはもう終わりだ。こっちは、あなたが違法カジノを利用していた証拠だって掴んである!!!!逮捕状が出るのも時間の問題だ」
すると、安西の後ろから意外な人物が現れた。
「遥輝、俺はお前の復讐に利用されていただけなのか?」
俺は“彼の姿”を見て目を見開いた。
そうだ、そもそも俺が連れ去られたのは、車に乗っている人物によって、完全に油断していたからだ。
「貴之……」
俺は、会社の駐車場で1台の車と遭遇した。窓が開くとそこには貴之が乗っていて、
彼はいつものように俺に声をかけてきた。すると、俺が油断している隙に後部座席から男が降りてきて、気が付けば眠らされていた。
貴之は俺に近付いてきてこう言った。
「会社やろうって誘ってくれたのも、全部安西社長への復讐の為だったんだろ!?」
貴之は息を荒くし声を張り上げた。
「何とか言えよ!!」
違うと言いたい。
でも、
そうとも言いきれない自分がいる。
俺が独立して社長になったのには、こんな理由がある。
18歳の大学1年生の時から清香と付き合っていた俺。清香は母子家庭ということもあり、大学には進学せずに社会人となって、事務の仕事をしていた。ところが、数年経った頃から、清香の体調不良の日が続き、俺との約束をドタキャンすることも多くなって来ていた。
ドタキャンされるのは別に良い。心配なのは体調の方だ。
そのタイミングで俺は、高校の時の友人からこんな噂を聞いた。
清香はキャバクラで働いていると。
友達と一緒に、噂のあったキャバクラのお店に足を運ぶと、本当に清香がいたのだ。
その時、俺達の対応をしたのが安川峰子さんだ。当時お店では「美海」と名乗っていた。
清香は奥のVIP席で、とあるビジネスマンの男と一緒にお酒を飲み、激しいスキンシップを取っていた。見てるのが心底辛かった。
そこで俺は、峰子さんからあの人物が誰なのかを聞いた。
「安西社長よ。30にして社長だなんて、凄いわよね」
今すぐに清香の元へ行きたかったのだが、それはお店側から止められてしまった。
もちろん俺は、清香がその社長から凄く気に入られていて、何度もアフターで2人で会うような仲にまでなっているだなんて事は知らない。
アイツは、清香の心も体も自分のモノにしようとした。挙句俺は後日、
「ごめん、遥輝。別れてください」
と告げられた。
「……は?何で!?」
そしたら清香はこう言ったんだ。
「私、結婚するんだ!」
と。
「…………は?」
自分の耳を疑った。すると清香は俺にとある人物の名刺を見せてきた。
そこには「安西 眞」と記されている。
「私、この人と結婚するの!」
その名刺を見た時に、先日キャバクラに行った時に見た、安西社長と清香の2人がお店の席で寄り添い合っている所の描写がパッと蘇った。
その時ふいに俺は、
「あのお客さん?」
と零した。
「……へ?」
「ごめん。もう知ってるんだ。清香がキャバクラで働いてるの」
それを聞いて清香は目をパチクリさせて動揺していた。
「いつから働いてたの?」
「もう…1年以上前かな……」
と言った後、清香はこう続けた。
「今、お母さん……入退院を繰り返してるの。お金が必要で。でもね!眞さんが治療費も生活費も、全部養ってくれるっていうの!!こんなに良いことはないわ!!君の家庭の幸せを保証すると言ってくれたのよ!!」
清香の感覚はもう完全に狂っていた。安西に洗脳されたようになっていて、若干怖くもあった。
俺はそんな清香を元に戻したかった。
「清香、その結婚は賛成できない!!清香には俺がいるだろ!!」
俺自身も清香を取り戻したかった。
それに、出会ってそんなに年数も経ってない奴と、お金だけの、愛の無い結婚は絶対にして欲しくなかった。彼女がいつか酷く後悔すると思ったからだ。だから俺は清香の事をギュッと抱きしめ、
「俺が将来必ず清香を幸せにする!!だから結婚は待ってくれ!!!!必ず俺がその社長のように稼いで、清香ごと養っていけるような立派な男になるって約束する!!!」
と言うも、
「それっていつ?」
と、跳ね返された。
「え?」
「あなたがそうなるのはいつ??安西社長はね、会社の歴史がまだ浅いにも関わらず年商50億円を叩き出せている人よ!?遥輝がそうなれる保証がどこにあるのよ!?」
清香は完全にお金に目が眩んでいて、もう俺と付き合い続けるという選択肢は、彼女の中に全くなかった。
「世の中、好きって気持ちだけじゃどうにもならない事だってあるの…!!分かる?世の中は所詮はお金が全てなの!!!!」
清香がこんなにまで愛よりお金を選び、狂い果ててしまった事にも大きなショックを受けたが、
清香の家庭の事もちゃんと詳しくも知らなければ、お金にこんなに困っている事も知らなかった俺。清香の悩みを知ることなく結果的に1人で苦しませてしまっていたという、俺自身にもショックを受けた。
それに何より、
清香の心も体も奪っていった、安西の事が許せなかった。
後日、俺は清香の働くキャバクラ店に乗り込んでは、安西本人に声をかけて、
「清香を返せ!!!!」
と胸ぐらを掴んだ。何とかしてコイツに清香から手を引いてもらいたかった。
「お客さん!やめてください!」
当時このお店のボーイとして働いていたのが蛭間くんだ。
「はるちゃん、やめて!!」
峰子さんも止めに入ってきた。
お店は大騒動に。
頭にきた俺は、テーブルにあった水を安西にザバッとかけ、安西を殴ろうとした。
「落ち着いてください!!」
それを止めてくれたのは蛭間くんだった。
「離せ!!!」
頭に血が上った俺は、周りの言葉なんて入ってきやしない。すると安西がこう言うのだ。
「水をかける分には構わない。しかし、せっかくのスーツが台無しだ。君、弁償してくれるな?」
「は?」
蛭間くんに取り抑えられ、床に膝をついていた俺は、安西の事を引き攣った顔でガンを飛ばした。
安西は続けた。
「このスーツ、イタリア製で特注で作ったものでな、全身150万円する。君はそんな大金を今すぐ払えるのか?払えないだろ?」
そう言って安西は、俺の頭をガン!と踏み潰して来たのだ。そしてトドメにこう言われた。
「収入と、人間としてのステータスはイコールだ。俺に盾付きたければ、このスーツを弁償出来るような奴になってから言え」
それを言われて俺は何も言えなくなった。
安西はそのまま店を後にした。その場にいた清香も、タオルを用意し急いで安西の事を追った。その時俺の頭の中で、
ーー世の中、好きって気持ちだけじゃどうにもならない事だってあるの…!!分かる?世の中は所詮はお金が全てなの!!!!
清香が先日言っていた言葉が、目眩を起こしそうなくらいに酷く頭をループした。
「あ゛あああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
その後、清香はそう経たない内に本当に安西と籍を入れた。
NEXT▷▶︎▷▶︎第10話 後編
後編は明日公開します‼️‼️
遥輝の過去の話はもう少し続きます……
最後の遥輝の叫びは、
悔しさが詰め込まれていて
心が痛くなるシーン……
次回もお楽しみに!
明日は最終回まで載せます!!
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。