次の瞬間、
遥輝さんは何者かにハンカチで口を押えられ気絶し、後部座席に吸い込まれて行った。
本当に一瞬の事だった。
「後藤、追え!!!!」
「はい!!!!」
俺達は車を走らせ、遥輝さんを乗せたその車の追跡を始めた。パトランプを付けて走っては、相手がどう威嚇してくるかは分からない。変に挑発して万が一車内で遥輝さんが殺害されるなんてことがあってはマズい。
「こちら桜坂。至急援護を頼む」
と、サイバー室の仲間に知らせた。どんなに見失ったとしても、遥輝さんのスマホのGPSを頼りに追跡が可能だ。
だが、暫くすると……
「は!?」
GPSが解除されてしまった。
「まずい!!」
相手にGPSの存在に気付かれてしまったようで、システムが遮断されてしまった。俺は持ってきたPCにて至急対応し、遠隔で復旧捜査が出来るか試みた。
「畜生!!どうなってんだ!!」
その後も見失わないよう置い続けはしたが、途中不運な事に信号に引っかかり、車を見失ってしまった。
「クソ…!!」
と握り拳を作って窓を叩く俺。
「桜坂先輩、ドライブレコーダーにしっかりと奴らの車のナンバーが写ってますから、ナンバーを共有して捜査を拡大させましょう!」
と後藤が言ってくれた。
「あぁ、そうしよう」
油断した俺達も悪い。
それにしても車の中に乗っていたのは一体誰だ!?何故遥輝さんは相手に気を許し会話をしてたんだ?
となると、犯人はターゲット本人!?それとも……!?
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トゥンカロンをオミさんと食べに行ったその日に、私はオミさんと次にラーメンを食べに行く約束をしていた。
今は土曜日のお昼だ。
オミさんは、俺も暇じゃないんですけどと愚痴を零してきつつも、何だかんだで私の相手をしてくれるから嬉しい。
ちなみに、午前中に1件だけ開発中の商品の試作会があったようで、オミさんはその仕事終わりに来てくれたのだ。
仙名さんへの次なる戦略を考えたいところだけど、最近仙名さんに連絡も取れてなかったので、まずはそこからだ。ラーメンを食べ終わったらオミさんに相談をしてみよう。
そのお店に向かう途中、オミさんは間宮さんからの電話を取った。
「もしもし、お疲れ様です」
「あぁ、お疲れ様」
「どうしたんですか?」
「いや、社長と昨日の夕方以降から全然連絡付かなくてさ。LINEも既読にもならないし、電話してみても出ないしさ。オミ、なんか知らないかなと思って」
「えぇ?いや、知らないなぁ」
間宮さんと電話をするオミさんの眼差しは険しいものだった。なんの話しをしてるのだろう。
電話を終えた後に聞いてみると、オミさんはこう言った。
「なんか、社長と連絡取れないらしくて、なんか知らないか?っていう電話だった」
「え!?」
オミさんは腕を組んで、うーんと唸った。
「LINEも既読付かないとかどうしたんだろう。社員が社長と連絡付かない事なんて滅多に無いのに……」
と話しながら道路を歩く。するとその時……
私達の横に黒いミニバンが停まり、突然ドアが開いた。
「へ!?」
私は突然何者かに取り押さえられ、身動きが取れなくなった。
「おい!!離せ!!!!」
オミさんが私を助けようと、男二人に立ち向かってくれたが、オミさんは男達に吹き飛ばされ、地面に転げてしまった。
それでもオミさんは、
「この野郎!!!!」
しぶとく男の足に掴みかかり、立ち上がって反撃しようとしてくれたのだが、
「しつこい男め!!!!」
オミさんはもう1人に殴り飛ばされ、倒れてしまった。
「オミさん!!!!」
私はその後ハンカチで口を押えられ、何かを吸わされて眠りに付いてしまった。
NEXT▷▶︎▷▶︎第10話
わああああ‼️‼️‼️伊央里が攫われたああああ(இдஇ; )‼️‼️‼️
そして遥輝も攫われてオミもボロボロで……
果たしてみんなの運命は!!??
本作も残すところあと2話です‼️
お楽しみに‼️
(あれ?私、恋愛小説書いてるんだよね…??←)
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。