第21話

第10話 後編
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2021/06/27 09:00

以降、俺は大学を卒業後、一流企業に入りつつも、人脈を集めるべく都内で行われる社会人交流会に参加したり、当時まだ数少なかったSNSを使ってDMを送り、実際の企業の社長さんに会いに行ったり、投資家の人に話を聞きに行ったり、セミナーに参加するなどして、たくさんの人脈を得た。
その中でいろんなビジネスを経験し、副収入を稼ぎ始めた。たくさん失敗もした。騙されて100万の借金をすることになって、危うく自己破産もしかけた。それでも俺は、収入=人間としてのステータスだと言い聞かせ、大金を稼げるような奴になろうと必死にのたうち回った。

俺がそんなになってまで努力出来たのは、



社長になって、一刻も早く安西と並べる関係になって復讐をする。



これを常にモチベーションに生きてきたからだ。



俺にとって安西は、殺してやりたいくらいに憎い相手だ。アイツへの恨みは一生消えることは無い。


24歳。やっとこさ生計を立てられるようになり始めた頃、その時に俺を救ったのが前園さんだ。最早、前園さんが俺を稼がせてくれたと言っても過言ではない。前園さんとのビジネスでの出会いが功を奏し、俺はそこでのビジネスパートナーだった貴之を誘い、一緒に会社を立ち上げる動きを始めた。

こうして数年後、俺が25の時に前園さんの経営する会社 (株) Frontier LINKの子会社として俺達は会社設立を成功させた。


しかし一方で、


幸せかと思われた清香は、確かにお金や生活面は約束されていたが、安西の女癖は直らず、家に帰ってくる事も少なかったという。

清香は結局蚊帳の外。安西家の別邸に住まわされていたのだ。 それを俺は、蛭間くんと峰子さんから聞いた。心配になり連絡を取ってみると、清香自身から会おうと言ってくれ、別邸に招いてもらった。驚いた事に、この時の清香は鬱状態で、ほぼほぼ心が無い状態になってしまっていた。

「辛いのなら、離婚した方が良いんじゃ?」

「……誰がお前の生活支えてやってると思ってんだ?って、いつも言われる」

この時も清香のお母さんも病気で入院中で、それも全て安西が出してくれているそうなのだ。

清香をこの生活から一刻も早く救い出したい。俺はその一心で清香に、


「俺が必ず清香を助けるからな」

と言うも、


「遥輝は余計なことしないで。あなたが何かして、旦那に狙われたら何されるか分からないわよ?」


と、結局清香に帰されてしまった。




今の会話をしたのが23歳の時。それから2年後に、闘病の末、清香のお母さんが亡くなったと本人から連絡を貰った後、突如彼女と連絡が取れなくなった。

別邸を訪ねるも家政婦さんしかおらず、清香の行方が分からず連絡も付かないと言うのだ。



テーブルには、清香の箇所だけ記入がされた、離婚届が置かれてあったという。



清香はきっと、お母さんの命の為に、ずっと苦しさに耐えてきたのだと思った。




愛のない結婚なんて辛いだけ。



俺だったら……と思ったら、悔しくて涙が溢れた。


俺なら彼女を愛せた。安西よりお金こそなかったかもしれないけど、絶対に俺の方が彼女を幸せに出来た。



清香自身を変えたのは、全ては安西が清香に近付いたからだ。




あんな、金だけ渡していろんな女性と関係を持って、清香に一切の愛を与えていなかった安西の事は一生許せない。


だから俺は、行方知らずとなった清香の居場所を探るべく、会社を経営しつつイベントを開き、そこに来てくれた人のアンケートのデータを見た上で、手がかりを掴める見込みが1%でもありそうな人にずっと声をかけ続けた。

そして30代になり、会社の事業も拡大し始めた所で俺から安西に近付いた。無論安西は、俺があの時の大学生であるだなんて、微塵も覚えちゃいない。
そこから俺は信頼を構築し、安西不動産グループの物件に当社の機器を導入して貰えるまでの関係になった。






そう。だから俺は、社長になったんだ。





全ては、安西への復讐の為に。






「遥輝!!答えろ!!!!」


と、俺の目の前で取り乱す貴之。すると安西は俺の髪を放して立ち上がり、フッと鼻で笑いながらこう言った。

「根屋さん。否定を出来ないという事は、そういうことなんですよ。彼は間違いなくあなたを利用していたんです」


俺は咄嗟に、

「違う!!」

と叫んだが、

「じゃあ何故顧客リストから俺の名前を探そうとしてたんだ?居酒屋での動画を拡散したのも、どうせ君なんだろう??」

と言って、俺の体を蹴っ飛ばしてきた。

「さぁ、データを渡せ」

「無駄だ。もう警察が証拠は押収してるんだ!!」

「それももう時間の問題だ。今、奴らが警察のシステムをジャックして、データを消そうと試みている。君のスマホに搭載されてたGPS機能も奴らに遮断させた。助けなんて誰も来ないぞ」

それを聞いてヒヤッとした。

「なんだと…!?」

「君は入念な男だからな。持っているんだろう?顧客リストのバックアップデータを」

「俺は持ってない!!」

と言うと、さらに強く俺は蹴飛ばされ、鉄の棒で何度も体を叩かれた。

「どこにあるんだ。渡せ!!」

「本当に持ってない!!」

すると安西は、手下達に

「コイツのカバンの中身を確認しろ」

と指示をした。

「無駄だ。そこには無い」

「じゃあどこにあるんだ!!!!さぁ、吐け。吐かないのなら、こちらにも手がある」

「は?」




すると、奴らは本当に汚い手を使ってきた。




なんと、俺の目の前にロープで手を縛られ、男に拳銃を頭に向けられた橘さんが現れたのだ。俺はそれを見て目が飛び出そうになった。




「橘さん!!!!」

「さぁ、データの場所を教えろ。さもなくば今ここにいる彼女を殺す」

と言った。それと同時に手下は銃の引き金を引いた。

「やめろ!!!!!」

と叫ぶ俺。橘さんは涙を流し、恐怖のあまり体を震わせて声すら上げられない状態になっていた。

「可哀想に。君もまた“彼に利用されていた“ ”んだよ」

と言って橘さんの心を揺さぶってきた安西。俺はそんな安西に、

「彼女を離せ!!」

と言った。

「あぁ、君が顧客データの場所さえ教えてくれればね」

彼女をこんなに危ない目に遭わせるなんて許せない。俺はその一心で、

「卑怯者!!」

と叫ぶも、

「卑怯者?どの口が言っているんだね?彼女を利用した君も同罪だよ」


と言われてしまった。





確かに俺は、復讐をする為に“彼女の存在を利用した”。でも、命の危険に晒すような真似をしたかった訳じゃない。

俺は橘さんを助けたくて必死で藻掻くが、ロープは解ける事無く俺の行動を強く縛り付ける。すると別の手下達がが俺の事を殴り、蹴り飛ばしてきた。

「仙名さん!!!!」

そんな俺を見て橘さんはここで初めて声を上げたが、橘さんを押さえる拳銃を持つ男にすぐさま、

「黙れ女」

と言われ、グリグリとより強く銃口を押し付けられてしまった。


「ひぃ……!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」



こんなの酷すぎる。










頼む。











頼むから彼女の事は解放してくれ!!!!







「やめろ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!彼女に手を出すな!!!!彼女はまだ、“高校生”だぞ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」












その時だった













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遥輝と伊央里、大ピンチ‼️‼️‼️‼️‼️
そして何故遥輝は伊央里が高校生なの知ってんの❕❓❕❓
伊央里を利用してたってどういう事⁉️⁉️

次回、最終回です‼️‼️‼️‼️

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