きゃははははは!!
女王様の笑い声。
今の遊び道具は、
君だった。
夏休み明けの学校初日。
君は案の定遅れて1限が終わったころにのこのことやってきた。
君は何も知らずに、いつも通りの明るい声で、
「おっはよー!」
って言って
とびっきりの笑顔で教室のドアを開けたんだ。
でも、誰も返さず、ただ憐みの目で君を黙って見つめるだけだった。
異変に気付いた君は、それでも無邪気に
「ね、どうしたの?」
って近くの女子生徒に聞いてたね。
でもその女子生徒は答えず、
どこか悲しそうな目で彼女を見た後
だまって他の友達のところへ行ってた。
君は自分の机を見てすべてを察したんだろうね。
その机の上には、
空の花瓶がおかれていたから。
あぁ、そうだ忘れていた。
1人だけ、笑っている人がいたね。
女王様。
彼女だけが、にやにやと笑っていた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。