君を僕だけのものにしたい。
そう思い始めたのはいつからだろうか。
長かった夏休みも終わり、9月から学校は再開した。
僕はいつも君と一緒に行くけれど
ちょっと間抜けな君は遅刻するだろうと思って先に学校に行った。
このクラスでは、いつも誰かが生贄になって女王様の遊び道具になる。
僕と君はまだなっていないけど、義務のようなものだ。いつかはなるだろう。
女王様は飽き性だから1週間かそこらで遊び道具を変える。その間、女王様の気に障ることをしなければ長引くことはないだろう。
学校につけば、誰一人として教室にはいなかった。
何もすることがないので窓辺の席から外を眺めた。
ここは田舎だ。
高台にあるこの学校は、教室から海や街並みが見える。
海が美しく見えるこの学校は、田舎にある割には人気が高く、わざわざ県外から来る生徒もいる。
朝日に照らされた海がきれいだった。
ふと、窓辺に枯れた花の入った花瓶がおかれているのが目に映った。
夏休み中、誰も水をやらなかったのだろう。
花は萎れて、力なく頭を下に垂れている。
水をかえてやろうと思って、僕は花瓶を手に席を立った。
その時だ。
頭に悪い考えがよぎったのは。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。