第3話

第3話
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2021/01/30 18:48
飯盛 サエコ
飯盛 サエコ
ここが、わたしの家よ
橋爪 ケイコ
橋爪 ケイコ
これは……
案内されたのは、テレビドラマに出てくる豪邸のように立派な家だった。

車を数台置けそうな、広いガレージ。ケイコの背よりも高い塀。そしてその塀の向こうには、広い庭と大きな家……。
橋爪 ケイコ
橋爪 ケイコ
すごいところに、住んでいるのね?
橋爪 ケイコ
橋爪 ケイコ
(……ウチとは、大違いだわ)
橋爪 ケイコ
橋爪 ケイコ
旦那さんは、お金持ちなのね。羨ましいわ……
飯盛 サエコ
飯盛 サエコ
違うわよ。わたしの経営しているエステサロンが、人気なの
飯盛 サエコ
飯盛 サエコ
……主人は、あまり
橋爪 ケイコ
橋爪 ケイコ
……え?
飯盛 サエコ
飯盛 サエコ
ううん。なんでもないわ
橋爪 ケイコ
橋爪 ケイコ
(気のせいかしら?)
ふわりと香るような違和感をケイコは、確かに感じた。

けれど……。
橋爪 ケイコ
橋爪 ケイコ
(……)
橋爪 ケイコ
橋爪 ケイコ
(嫉妬は、よくないわ?)
ケイコは、その違和感を飲み込んだ。
飯盛 サエコ
飯盛 サエコ
教えてあげる……
飯盛 サエコ
飯盛 サエコ
あなたが不思議に思っていることを……ね?


サエコに案内されるまま家に上がった。お金持ちの家というのは、室内の調度品まで美しい。

廊下に飾られた薔薇が、その優雅さを引き立てている。
橋爪 ケイコ
橋爪 ケイコ
素敵……
ケイコは、その美しさに魅了されていた。

だが……。
橋爪 ケイコ
橋爪 ケイコ
(私も、結婚相手さえ、間違えなければ……。こんな生活を送れたかもしれない……)
抑えきれない、嫉妬ばかりが膨らんでゆく。
飯盛 サエコ
飯盛 サエコ
ここがリビングよ。
そのソファに座って
飯盛 サエコ
飯盛 サエコ
今日はね? 特別な紅茶を用意したの
飯盛 サエコ
飯盛 サエコ
口に合うといいんだけど……
カチャリと小さな音を立て、ティーカップとソーサーが置かれる。

カップに注がれた熱い紅茶からは、独特の匂いが漂っていた。

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