今俺はあなたと屋上に2人だけ
でも俺はあなたの後ろ姿を見ている
あなたは数歩すすめば下に落ちる
『あなた…?』
相原「あ…なんでここにいるの?」
『あなたこそなんで?』
相原「なんか…疲れちゃって、」
そう言ってあなたは悲しそうに笑う
『そんなとこいたら危ないよ』
『こっちおいで?』
相原「もう、あなたには何も残ってないの」
あなたは何を言っているんだろう
考えれば考えるほど分からなくなる
『あなた…』
俺があなたに近づくとあなたは後ろに下がる
相原「ねぇ…もしあなたがここから落ちたらどうする?」
『何を言ってるの?』
相原「ここからなら飛べるのかな、」
『ダメだよそんなことしたら、』
相原「でも今まで頑張ったしジャニーさんも許してくれるよね、」
『ジャニーさんが許しても俺は絶対許さない』
『だからそんなことやめて悩みがあるなら俺に話してほしい』
相原「話したところで何も分からないでしょ?」
『分かるよ』
相原「分かんないよ!分かるわけないじゃん!」
相原「今まで耐えてきた批判の辛さ!女子だから何?男社会に女1人だから何?あなたが男だったら良かったの?女だからって好きなダンスも演技も制限されて!」
あなたのことはなんでも知っていた
いや、知っているつもりだった
俺は何も分かってなかったみたい
相原「デビュー信じてここまで走ってきた!でももう疲れたの、もう嫌なの、」
デビュー信じて走った?
俺らもうデビューしたじゃん
あなたも含めた10人でデビューしたよ、?
相原「だから…ごめんね、今までありがとう」
そういうと俺の前からあなたが消えた
ドンッ!
きゃぁぁぁぁ!!
遠くから、近くから悲鳴が聞こえる、
あ、あなたは落ちたんだ、
そう理解するのに時間がかかった
『あなた…』
俺が最後に見たあなたは悲しそうに、なにかを諦めたような、儚い笑顔だった…
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!