“ よし、 ”
そう呟いて立ち上がるユンギさん
どうしたんだろうと見つめていると
そう言って袋から取り出したのは
真っ赤なりんご
トントントン
とリズミカルな音が部屋に響く
“ ん ”
そう言って私の膝にりんごの乗ったお皿を置く
私は上半身だけ起き上がってりんごを食べる
それを見てか微笑むユンギさん
“ 俺も食べよ ”
そう言ってりんごを1切れとって食べる
りんごはすごく美味しくて私はもう1切れ食べる
“ よかった ”
そう微笑んで
ぽんぽん と頭を撫でてくれる
しばらくの間
私の隣にいてくれるユンギさん
頬ずえをついたまま にっ て笑う
私の顔を優しく触るユンギさん
安心したからか ふぁ っとあくびが出る
ユンギさんが立ち上がっておでこにキスをしてくれた
ような気がした
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!