第6話

第2章『参加者』【2】
62
2018/03/29 06:15
夢の中で──私は真っ赤に染まっていた。
回りには、知らない男女が倒れていた。
そこには、黒でも白でもない、赤い猫が──。

目を開けると、窓の外は暗くなっていた。
漆原 神楽
なんて夢…
時計を見る。

【21:34】

四分、寝過ごしてしまったようだ。
服を着替え、バッグを持つ。
髪を整えて、スマホを持った。
漆原 神楽
歩いて行こう…
静かに、音をたてないように歩く。
扉を閉めて、階段を降りる。
電気は付いていない…寝ているのだろう。
玄関の扉を開けて、鍵を閉める。
漆原 神楽
はあ…
息を吐き、時間を見る。

【21:36】

早く行かなければ。
葵衣はもう行っているはず。
そう考えながら歩く。
今日はやけに、夜風が冷たかった。

しばらく歩くと、命花中の校門に着いた。
大人や子供、老人など歳がバラバラな男女が集まっていた。
親が子供をこんな夜中に出すとは思えない。
私のように、気になってコッソリと抜け出してきたんだろう。
参加者 女
また増えたわね
参加者 男
一体なんなんだよ…
集まっている男女を見回すが、どこにも葵衣はいない。
まだ来ていないのだろうか。

【21:56】

もう時間がない。
まさか、寝てしまった?
葵衣…なんかあった訳じゃないよね。
嫌な予感、的中かもしれない。

【22:00】

とうとう、二十二時になった。
葵衣は、結局来なかった。

ギ、ギィィィィ…

校門が勝手に開いた。
誰も開けていないはずなのに。
まるで、入ってこいとでも言うように。
参加者 男
か、勝手に…開いたぞ
参加者 女
帰りたい帰りたい帰りたい…
私より少し小さい女の子が、帰りたいと連呼している。
帰りたいのは、私も一緒だ。
だけど、入らないと…なんか、来る。
参加者 男
おい! なんだあの化物は!
一人の男が叫んだ。
振り返ると、赤い液体で濡れている斧を持った男がいた。
顔は頭巾を被っていて見えない。
参加者 男
ここに入れば安全なんじゃないか!?
命花中を指差した。
確かに、命花は広いから、逃げられるかもしれない。
集まっていた全員が校門を通ると、また勝手に閉まった。

そして、頭巾男は消えた。

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