第3話

第1章『花言葉』【2】
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2018/03/25 02:33
花束の中に入っていたメッセージカードに、花言葉が書いてあった。
ダリアの花言葉だけ、離れていた。
裏切り、か。
茂木 弘幸
漆原? どうかしたのか?
川嶋 葵衣
せっ、先生! 神楽、怪我してます!
漆原 神楽
葵衣…
後ろの席にいた、親友の川嶋 葵衣が私の指を見て叫ぶ。
アザミの葉の棘が刺さったところから、血が出ていた。
少し、ズキズキ痛む。
茂木 弘幸
その花束は? 誰が漆原の席に置いたんだ?
担任教師の茂木 弘幸がそう聞くが、誰も喋らない。
この中にいないか、知らない振りをしているか。
知らない振りをしている方が、可能性が高い。
花言葉まで書かれている…全て、本当なら。
私に恨みがある、ということだろうか。

オトギリソウ、恨み。

花束と中に、恨みの花言葉を持った花がある。
その他にもある。

リンドウ、悲しんでいる時の貴方が好き。

私が悲しんでいる時が好き、ということなのか。

ワスレナグサ、私を忘れないで。
ダリア、裏切り。

忘れないで…と、裏切り。
これは私のこと? それとも送ってきた人物がやったこと?
川嶋 葵衣
先生、神楽を保健室に連れていきます!
茂木 弘幸
わかった。廊下を走るなよ
葵衣が見ていられなくなったようだ。
血はまだ出ている。
いつもだったら、固まるはずなのに…。
どうしてかはわからないけど、保健室に行った方がよさそうだ。

席を立って、葵衣と一緒に教室を出る。
葵衣は、小さい頃から一緒にいる幼馴染だ。
大切な親友。
川嶋 葵衣
ねぇ、神楽。私さ、登校中に変なことあったんだよね
漆原 神楽
何があったの?
川嶋 葵衣
いやー、白猫と黒猫が飛び出してきて、行った後に黒い紙があって、〈おめでとう 。君は数人のゲーム参加者だ〉って描いてあったの。カタカナのところだけを読むと、デスゲーム参加者
漆原 神楽
葵衣、多分それ…私も拾ったよ。捨てたけど
川嶋 葵衣
神楽もかー。そうだ、指、大丈夫?
漆原 神楽
大丈夫。…あ、葵衣の席には花束あった?
川嶋 葵衣
え? いや、なかったよ?
漆原 神楽
そっか
葵衣の席には、なかった。
私の机の中にだけ、あったということだろうか。
デスゲーム参加者…ね。

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