最近、良く夢を見るのです
その夢は、特に誰も現れず、ただ、暗闇が広がっているだけです
でも、確かに感じるあの感覚..頭から足先まで、身体全体で拒絶反応を起こしてしまう程、凶悪で憎い感覚...
苦しい過去とわびしい未来が頭の中で映像のように流れた
映像が流れる度に頭痛が襲い、混乱で崩れたホルモンで、涙腺が緩み、出したくもない涙が溢れ出る
苦しい気持ちに全感情が押し潰されそうで、とても怖かった
そうしていれば、感情を偽れると思っていた
気分転換にもなるだろう、と私は布団から出た
部屋から出ると、まだ誰も起床しておらず、御屋敷内は静まり返っていた
朝日が山と山の間から顔を出し、光を届けてくれていた
その朝日に照らされる御屋敷は、良く手入れされている花々が美しく光っていて、とても美しかった
つい、花達に話しかけてしまった
でも、恥ずかしさはなかった
台所に移動し、何か作ろうと試みたものの、普段台所に立たないため、道具の場所や使い方、食料の場所など、何も分からなかった
まるでこそ泥のように引き出しを開け、中を物色していた
と、周りをキョロキョロ見渡して、私はお煎餅を口へと運んだ
お煎餅ならではの「バリッ」と言う音が大きくなり、一度驚いたものの、私は気にせず食べた
空腹を紛らわすことに成功し、満足して台所を出ようとした時、どうも後ろの襖から鋭い視線を感じた
このまま振り返るのはまずい、と本能で悟り、私は別の扉から退出しようとゆっくり足を進めた
しかし、無駄な祈りは通じず
あからさまに視線を逸らした私は、輝利哉の視線に気付き、逃げようがないことをした悟った
2人で台所を出ると、それぞれの部屋に戻った
帰る途中、自分はちゃんと笑えていただろうか、とか、変ではなかっただろうか、などと考えていた
普通にしていれば大丈夫。
そうも一度心の中で唱えた
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。