神の呼吸には合計で6つの型が存在します。
イザナミが残した火の神、カグツチの力を宿す、
壱ノ型ー軻遇突智一閃
夜の世界を支配する神、ツクヨミの加護を受けた、
弐ノ型ー月読命の舞
大海を統べる神、スサノオの恩恵を受けた、
参ノ型ー須佐之男命・乱舞
我が国の最高神であり天界の神、アマテラスオオミカミの覇気を纏った、
肆ノ型ー天照大御神
自然物を神格化したものを崇拝し救済する、
伍ノ型ー自然崇拝の巫女
そして、
数多くの神の意味を持つ、八百万の神へと捧げる舞、
終ノ型ー八百万神楽の舞
しかし、終ノ型を繰り出すには条件があったのです
条件は単純ですが、決して簡単なものではありませんでした
その条件とは、神の呼吸の壱ノ型から伍ノ型を途切れさせることなく放つこと
日の呼吸も同様にして終ノ型を出すことが出来ますが、神の呼吸は日の呼吸のように、ひとつの舞にはなっていません
決して簡単ではないからこそ、その一撃は大変鋭く、必ず未来を掴む
刀は強く握り、足取りはあくまでもかろやかに
芯から指先までの神経を研ぎ澄ませ、視界を開く
すると、身体は自然と動く
勢いに乗った身体は、無惨の元へと引っ張られるように動いた
右太ももの前で両手で低く構えた刀を大きく振り上げ、一撃を入れる
続いて左足を軸に身体を半回転させ、回転の勢いを用いて無惨の足を切り落とす
瞬時に再生する足を無視し、今度は右足を大きく前に出し、刀を振り下ろす
それと同時に無惨の体は真っ二つに割れた
しかし、それも瞬時に再生すると、やられてばかりではいられない無惨も反撃を入れてくる
癇癪を起こして乱雑に振られる触手を全て避け、高く飛び上がる
でも、いくら未来が確立したからと言って、私一人では厳しいのに変わりはない
未来の確立を提言するには、皆様の御協力が必要です
私はいつまでも待ちます。
だから、戻ってきてください..っ
私は前方へと回転しながら、刀を振り下ろした
それと同時に無惨の体を再び両断した
しかし、それもまた瞬時に再生される
その時でした
炭治郎さんの足元が一瞬疎かになり、その隙を突かれそうになった
痛々しく刻まれた両目の傷
この時点で、伊黒様の視覚は完全に閉ざされた
しかし
鏑丸さんが、伊黒様の目となってくださいます
無惨は人間から1番遠い存在と言っても過言ではないでしょう
感情などとうの昔に絶え、執着は己の生のみ
そんな奴に、慈悲の心など、微塵も存在するはずがなかった
逃亡する無惨はひたすらに走り、仲間の亡骸を踏みつけた
それに怒った炭治郎さんが、本能のままに刀を投げつけた
無惨に追い付いた伊黒様が、無惨の真上から刀を突き刺し、動きを封じた
封じられた動きを無理やり身体を動かすことで伊黒様の攻撃を上書きし、無惨の身体は再度自由になる
しかし、無惨の動きは1度ピタリと止んだ
最悪の予想をたくさん浮かべていた頃、無惨の思考はその反対だった
無惨の思惑が完全に水の泡となったことを、鬼殺隊は1秒の間に察知した
その確信は間違ってはいませんでした
しかし、無惨とて伊達に厄災を担っていませんでした
瞬きをする時間すら与えずに、薄暗い夜に雷電の帳がおりた
神経を伝わって全身にまで響く激痛
視界は曇り、身体の力は全く入らなかった
思わず地面に膝をつき、額から汗を垂らした
開いた口から漏れる息
掠れた声が混じり、疲労感が一気に押し寄せた
地面に這いつくばり、弱音を吐き出したい気持ちでいっぱいでした
弱い自分はいつまでも付き纏って離れない
でも、それを糧に私は私を貫き通して戦うことが出来た。なのに..
声が、言葉が...何も出ないっ
目の前に忌むべき敵は居るのに、届かない
嗚咽のような声に乗せるように鳴り響いた怒号
とても端的な言葉です
端的ですが..誰もが思っていた一言で、誰もが言えなかった一言
精一杯の気持ちが優り、皆気持ちを溜め込んだ
死んだ仲間のために、家族のために
待ち人の元へ帰るために
何も失わないために
光を取り戻すために
そういった本音で抑えられた悲しみ
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。