刀と爪の交わる音がする
だけど、分かるのは音だけで、目の前は真っ暗
そう、何度も唱えた。
だけど、体は思うように動かなくて、声も上手く出せない
こうしている間にも、炭治郎さんは身を粉にして戦っているはずです
決して炭治郎さんを見くびっている訳ではありませんが、人間には鬼のように無限の体力はない..
元とはいえ相手は十二鬼月。
厳しい戦況を1人で保つなんてこと、難しいはずなのです
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鬼の血気術は、炭治郎の元ではなく、奥に横たわっているかなめの方へと向かった
光り進む雷を刀で切るが、実態のない雷は切ることが出来ず、すり抜けてしまう。
そのまま進んだ雷はかなめの脳に入り込んだ
厳しい状況に狼狽えそうになるも、何とか自分を保とうと、応援の言葉を自分に掛ける
そんなのは気休めにもならないかもしれない。だけど、彼は知っている
人は心が原動力だと。
だから、諦めることを知らない彼の心は、真っ直ぐに歩み続けようとする
目の前にいるはずなのに、遠くで響くように聞こえる鬼の声
その声が心にどっと重くのしかかるように刻まれる
保つことが出来ていた自我がどこかに消えてしまいそうな程、闇が濃くなった
これは悪夢なのか、ただの夢なのか
または走馬灯なのか
そんなこと、今はただどうでも良かった。
でも、、
どんなに嘆き、嗚咽を漏らしても消えぬ目の前の暗闇
何も考えられなくなりそうで、意識が遠のいていって、、
堕ちてしまいそう
その瞬間、暗かった空間が明るくなった
同時に、首の辺りが酷く痛んだ
微かじゃなく、はっきりと聞こえる刀の音
切り抜けた!
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。