第51話

46話
1,306
2020/10/27 13:50
刀と爪の交わる音がする
だけど、分かるのは音だけで、目の前は真っ暗
産屋敷 かなめ
(速く、私も戦闘に戻らなければ..ッ)
そう、何度も唱えた。



だけど、体は思うように動かなくて、声も上手く出せない
こうしている間にも、炭治郎さんは身を粉にして戦っているはずです


決して炭治郎さんを見くびっている訳ではありませんが、人間には鬼のように無限の体力はない..


元とはいえ相手は十二鬼月。


厳しい戦況を1人で保つなんてこと、難しいはずなのです
産屋敷 かなめ
(速く、目を覚まさなければ..っ)


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元下弦の弐
血気術 伝脳・雷
竈門炭治郎
ッ!しまった、かなめさん!
鬼の血気術は、炭治郎の元ではなく、奥に横たわっているかなめの方へと向かった

光り進む雷を刀で切るが、実態のない雷は切ることが出来ず、すり抜けてしまう。



そのまま進んだ雷はかなめの脳に入り込んだ
元下弦の弐
あはっ、これで彼女..もう起きない
つまり
元下弦の弐
君は僕とずっと1人で戦わなきゃいけないんだよ!
頑張ってね☆
竈門炭治郎
くっ....
竈門炭治郎
(俺はどうすればいい..っ)
竈門炭治郎
(このまま耐える。けど、果たして俺に出来るのか..?)
竈門炭治郎
(いや、やるしかないんだ!俺が!)
厳しい状況に狼狽えそうになるも、何とか自分を保とうと、応援の言葉を自分に掛ける


そんなのは気休めにもならないかもしれない。だけど、彼は知っている


人は心が原動力だと。


だから、諦めることを知らない彼の心は、真っ直ぐに歩み続けようとする






元下弦の弐
血気術 伝脳・雷
目の前にいるはずなのに、遠くで響くように聞こえる鬼の声


その声が心にどっと重くのしかかるように刻まれる



保つことが出来ていた自我がどこかに消えてしまいそうな程、闇が濃くなった
産屋敷奏和
かなめ..
産屋敷 かなめ
(父様..ッ)
産屋敷奏和
まだ、寝ていてもいいんだよ
ほら、兄さんも寝ているだろう
産屋敷 かなめ
(ですが、今は..)
産屋敷奏和
いいんだよ。
ほら、目を瞑って
産屋敷耀哉
かなめ、一緒に寝よう
産屋敷 かなめ
(........)
鬼舞辻無惨
恐怖を心に縛りつけろ
鬼舞辻無惨
私という存在を忘れるな
これは悪夢なのか、ただの夢なのか

または走馬灯なのか




そんなこと、今はただどうでも良かった。

でも、、
産屋敷 かなめ
(もう、悪夢は嫌なのです..ッ)
どんなに嘆き、嗚咽を漏らしても消えぬ目の前の暗闇


何も考えられなくなりそうで、意識が遠のいていって、、



堕ちてしまいそう
竈門炭治郎
かなめさん..っ!
竈門炭治郎
かなめさん、起きて..ッ!!!
凛(鎹鴉)
早ク起キナ!カナメ!
産屋敷 かなめ
ッ!
産屋敷 かなめ
(私は、何をしているの...ッ)
産屋敷 かなめ
(これは鬼の血気術。幻。だから、)
産屋敷 かなめ
(信じなくていい、!)
その瞬間、暗かった空間が明るくなった



同時に、首の辺りが酷く痛んだ





微かじゃなく、はっきりと聞こえる刀の音


切り抜けた!





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