気が付けば、腹部に強い痛みが走っていた。
喉から漏れるけたたましい叫び
目からは熱い雫が床に零れ落ちる
嗚咽をこらえるのに精一杯で、反論すら出来なかった
体内に流れ込む無惨の血が、まるで私を私でなくしてしまうようでとても怖かった
やっと絞り出せた声も、小さく、とても弱々しかった
輝利哉達は私を慕ってくれた、けれど..こんな姿、、情けない..ッ
無惨の手が首から離れ、呼吸がずっと楽になった。
その後すぐに壊したはずの琵琶の音が鳴り、無惨が目の前から消えた。いや、私が移動したんだ
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
かなめからの応援要請に、御館様は迅速に指揮を執る。
そして、指示の通り、凛は恋柱の甘露寺蜜璃を連れてかなめのいる場所に向かった
凛の誘導で、かなめが凛に要請を頼んだ場所に辿り着いた。
けれど、そこにはかなめの影も形もなければ、鬼の姿もなかった
ただ、木々の隙間から金色に光る月だけがあった
いつもは司令を放ったらかしで居眠りしたり、かなめに対して敬意を持っていない凛。
だけど、そんな凛が、他の誰よりもかなめを信頼していたのだ
そして、何かを見つけた凛は羽を閉じ、それを嘴で拾った
かなめがいつも付けている藤の髪飾り。
それはかなめと御館様の父、奏和様からの頂き物。
生活力はないかもしれない、けれど、
彼女がそれをこんなにも無造作に地面に放ったらかしにするはずがなかった。
少ない痕跡。
無造作に落ちている髪飾り。
影も形も無いかなめの姿。
現時点で、かなめは連れ去られたと考えられた
遅れて到着した水柱の冨岡義勇に、現時点での推測を伝えた
目的もなく攫うことなどない。
だから、その目的のためにかなめを殺すはずがないからだ
この時、皆の心には1つの思いがあった。
相手が産屋敷のかなめだからではなく、1人の仲間だったからこそ、"必ず救う"そう思えた
next
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。