意識が戻り、目を開けた
色々と混乱していたため、焦って体を勢い良く起こした
あたりを見渡してみると、見た事のある寝台に、空いている窓から入ってきた風で揺れるカーテンがあった
その時、左手が少し暖かいことに気がついた
ふと視線を下にやると、私の大好きな人がそこにいた
輝利哉の目元は少し晴れており、涙の後が付いていた
私はそっと、輝利哉の頭を撫でた
すると、輝利哉はピクッと動き、目を擦りながら体を起こした
輝利哉は、今にもほっと言ってしまいそうな程安心した表情を浮かべていた
輝利哉のその言葉の意味が私は何となく分かった気がした。
突然私がいなくなって、とても心配を掛けてしまったわね..
本当に、ごめんなさい。
もう、いなくならないわ..絶対に、あなたの傍から離れないから
それが当たり前。だけど、今の私は普通じゃないはずだった
無惨の血を大量に与えられ、普通なら既に鬼になっているか、死んでいるはずだった
鬼になれば、怪我も治るでしょう..が、私の傷には綺麗に包帯が巻かれていて、麻酔が溶けたのか、少しヒリヒリとしていた
そして、鬼になっているとすれば、体力を使っているはずなので、飢餓状態..人を襲いたくて仕方がなくなるでしょうが、私にはその兆候すらなかった
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あれから念入りに検査を受けましたが、体には何の異変も起こっていなかった
無惨の血も、綺麗さっぱり無くなっていたとか...
だけど、本当に何も無かった。
何かあるとすれば、傷が痛むくらいです...(恥
ですが、警戒は怠らないことですね
いつ何が起こるかも分かりませんから
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。