第3話

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2020/05/11 14:26
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授業が終わると、孝支が教科書を返しにきてくれた。



「これ、ありがと」



渡された教科書を見ると、使ったところに付箋が付いている。




「何この付箋、」



「後でちゃんと見ろよ?笑」



そう言って笑う孝支はやっぱりかっこいい。



…こうやって誰にでも優しくするから皆にモテるんだろうなぁ、


なんて思ってしまう。




「なんで旭に借りなかったの」



「だからあなたのがいいって言ってんじゃん」



私の頭をポンポン、と2回ほど軽く叩くと思わず頬が緩んでしまう。



「…期待しちゃうじゃん」



思わず出てしまった言葉。



ハッと口を噤むと、



「いいよ、期待しても」



と孝支は小さく呟いた。



「え…」



呆然としているうちに、孝支は何も言わずに教室に戻って行った。



…頭が追いつかない。




付箋が付いている教科書をひらくと、殴り書きの字で落書きがされていた。



付箋に書くところが孝支らしい。



私はその付箋を取り、ファイルの中にしまった。





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