さっき、電話をかけてきたのは―
俺の幼馴染、伊藤春樹だった
春樹と出会ったのは4歳頃―
出会ったとき、俺は殺し屋の訓練に嫌気が差し、家出をして一人で公園にいた。
通りすがりの人に、泊めてもらえないか頼んだけど無視された
諦めて家に帰ろうと思った時
流石に子供の家に泊めてもらうなんてだめだ
頬を触ってみると冷たい感触があった。涙
あ。自分が「訓練が嫌だ」っていうしょうもない理由で家出して、自分が嫌なんだ
自分の意見も言わず、ただ言いなりになっている自分から逃げるために家出したことに初めて気づいた
それから毎日のように一緒に遊び笑いあった。
春樹のお陰で親にきちんと意見も言えるようになったし、何より春樹と気が合う友達になった
本当に春樹はいい人だと思った。
あの時までは―
俺が春樹に対する嫌悪感が芽生えたのは中学二年生頃
と言われ連れて行かれたのは人気のないところ
あのとき、そう言わなければよかったのかな
それから春樹は取り憑かれたようにおかしくなっていった―
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!