『どんな物語にも主人公はいる』
『そして悪者もいる』
『悪者が居ないと物語は面白くならない』
『平和な村という捉え方なら面白いと思う人もいるかもしれないけれど』
『俺の思う物語はいつも悪者が存在する』
『悪者が居ないと面白くならない』
『という事は悪者も物語に必要になってくる重要人物という訳だ』
『主人公が物語の中心にいられるのは悪者が居るからと俺は思う』
『この物語では俺が中心となって作っている』
『だか俺は悪者だ』
『姉を不幸に招いた』
『でも俺が中心に作られているということは主人公という事だ』
『でも主人公が悪者の物語なんて聞いたことがない』
『そんな物語を俺は知らない』
『見たことがない』
『という事は俺は何なんだ?』
『分からない』
『もう何も分からない』
『何も考えられない』
『頭が動かない』
『脳が働かない』
『もう俺は…、』
︎
『生きていたくない』
『ねぇさんと俺が変わったら』
『俺が死んでいたら』
『この物語はHAPPYENDに終わっていたのだろう』
『全ては俺のせいだ』
『俺のせいでねぇさんが…』
『交通事故』
『俺が死んでいれば…』
『今はここに…』
『ねぇさんがいたのかな』
『この暗くて何も無くて、ただ自分はなんのために生きているのか』
『自分が生きている意味はなんなのか』
『考えていたのはねぇさんだったのか』
『ここは何処なんだ?』
『現実では無さそうだ』
『でもセカイにこんな暗い所なんてない…はず』
『だ、』
『無いと…はず、』
『でもそれならここは…』
どこなんだ?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!