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第1話

辛い毎日
28
2020/07/10 10:13
ある日の金曜日の夜、学校から帰った俺はある異変に気づいた。両親と弟の冬真の手にはスーツケース·····どこかへ行くのだろうか?俺は母さんに聞こうとしたら
母
あら、拓也じゃない。もぅ帰ってきたのね·····?もうちょい遅くても問題ないのに
いつもの冷たい視線、低いトーン·····俺に話しかける時はいつもこうなんだ
父
母さんの言う通りだ。こんな早い時間に帰ってきて家にいられても邪魔だしな。冬真のようにスポーツが出来るわけでも友達が多くて明るいわけでもない、部屋にこもって勉強ばかり。これじゃ家まで暗くなってしまう
日野拓也
日野拓也
そ、そんな言い方しなくても·····それに冬馬が勉強が大事って2人とも言ってたじゃないか!それにその荷物は何?どこか出かけるの?俺何も聞かされてないんだけど?
日野冬真
日野冬真
見てわかんない?‪w兄さん頭いいくせにそこは分からないんだね‪wそこ感じとれないから根暗だし、父さん母さんにそんな扱いされんだよ‪w教えてやるよ‪w兄さん抜きで旅行に行くんだよ‪w
日野拓也
日野拓也
え?旅行!?俺抜きって·····!
母
あら冬真、こんな勉強だけの根暗なお兄ちゃんに教えてあげるなんて優しいのね♪さすが私達自慢の息子♪冬真の言う通り家族みずいらずで旅行に行くの
父
そんな奴に構ってる時間はない、せっかくの三連休なんだ、早く行こう。月曜日の夜には帰ってくるから。よろしくな
帰っていきなり旅行って··家族って··俺も家族なんじゃ···酷い···俺はショックで声が出ない···


そして父さん達は出かけて言ってしまった
日野拓也
日野拓也
出かけちまった··月曜日の夜って··ご飯とかどうするんだよ?
とにかく俺は少しでも落ち着こうと冷蔵庫を開け何か食べようとした
日野拓也
日野拓也
え···?冷蔵庫の中お茶とうどんと卵3個のみ··?冷凍庫も野菜室も空っぽ··これじゃもたねーよ!バイトしてるけど給料日まで日にちあるし振り込まれてもほとんど母さんにとられちまうし··どうしよう
所持金1000円のみ。三連休だとしても1000円じゃ足りない。俺はこれからどうするか考えた。するとスマホが鳴った
日野拓也
日野拓也
ん?誰からだろ?綾瀬先輩!?一体なんの用だろ··?
綾瀬先輩は学校の中で唯一俺の事を気にかけてくれる先輩。たまに話とかも聞いてくれる優しい人だ
綾瀬先輩
綾瀬先輩
やほ!突然電話してごめんね?今大丈夫?
あぁ···綾瀬先輩の優しい声···ついさっきの事を喋ってしまいそうだ。でも俺は綾瀬先輩に心配かけたくない。いつもの俺を装うことにした
日野拓也
日野拓也
大丈夫ですよ!どうしたんですか?
大丈夫··!いつもの俺の声のトーンだ。
綾瀬先輩
綾瀬先輩
あのね、さっき遠くからだけど拓也くんの弟さんとご両親を見かけたんだけど拓也君だけいなかったから気になっちゃって··
日野拓也
日野拓也
見られちゃいましたか··
綾瀬先輩
綾瀬先輩
ええ··3人とても楽しそうに歩いてたから不思議に思って
日野拓也
日野拓也
実は··俺抜きで旅行に出かけたんです。月曜日の夜には帰ってくるみたいで
俺は泣きそうになるのを堪えて先輩にそう話すと先輩は怒り気味な声で
綾瀬先輩
綾瀬先輩
なにそれ!!拓也君抜きって··酷い!拓也君だって家族なのに!お洋服だって同じやつでボロボロだし··
まさか俺の私服のこと知ってるなんて··びっくりだった
日野拓也
日野拓也
何故俺の私服を?同じやつでボロボロで恥ずかしいからあまり外に出ないようにしてたのに··
綾瀬先輩
綾瀬先輩
たまたま··ね!たまたまよ?生徒会の仕事が長引いちゃった時街中で拓也君のこと見かけたのよ。気になって少し見とれてたとかじゃないのよ?バイト··してるんでしょ?新しいお洋服買えないの?
心配してくれる··けどなんか照れてる感じにも聞こえる。なんだか先輩可愛いな···。先輩と話してると暖かい気持ちになる···
日野拓也
日野拓也
たまたまですか··‪wバイトしててもほとんど母さんにとられてしまって洋服買う余裕ないんです
綾瀬先輩
綾瀬先輩
それは酷いわね··弟さんはあんなオシャレなお洋服着てるのに··月曜日の夜までご飯とか··大丈夫なの?
日野拓也
日野拓也
それが所持金1000円だけでして··冷蔵庫の中はお茶とうどんと卵3個のみで··冷凍庫も野菜室も空っぽなんです
恥ずかしい··よりにもよって綾瀬先輩にこんなこと··そう言うと先輩は
綾瀬先輩
綾瀬先輩
それじゃもたないわよね··男の子だから沢山食べるだろうし。そうだわ!私の家にご飯食べに来るといいわ!私のお父様お母様には言っとくから心配しないで?
まさかの提案だった。
日野拓也
日野拓也
綾瀬先輩のご両親にご迷惑かけてしまうんじゃ?いきなりの事ですし··
綾瀬先輩
綾瀬先輩
いいのよ♪気にしないで!こんな扱い酷すぎるもの!それにみんなで食べた方がより美味しいもの♪今からでも食べに来た方がいいわ♪学校近くの土手あるでしょ?そこで待ち合わせしましょ!待ってるわ
そう言うと先輩は電話を切ってしまった
日野拓也
日野拓也
綾瀬先輩とご両親とご飯食べることになってしまった··。こんな格好で大丈夫かな?手土産も買えないし··先輩を待たせるわけには··とりあえず向かおう
そうして俺は学校近くの土手へとむかった

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