ん?ここは…
目を開けると絵の書かれた天井と自分を見つめる使用人のような人がいる
忙しなく、動き回る使用人の奥に一人ぐったり倒れている女の人がいた
その横には男の人が女の人の手を握っている
きっと夫婦だろう
夫が近くにいた医者と思われる人に妻をみせた
妻を見て医者は夫に首をふっていた
それを見て夫は崩れ落ちていた
ふと、体が持ち上がった
向かった先は、さっきの妻のところだ
妻の顔の横に体が置かれた
妻は僕を見てふっと微笑むとまた眠りについた
いや、もしかしたら死んだ
可哀想だ
その想いで妻を見た
すると不思議な光が妻をつつんだ
妻はまぶたをあげた
すると夫は泣きながら妻に抱きついた
すると、夫が僕を持ち上げた
『ほら、元気な女の子だぞ』
うむ…
やっぱり、僕は生まれ変わったようだ
しかも、女の子に…
これは、大変な人生になりそうだ…
そして、僕、いや私は元気よく泣いた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!