第11話

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2020/08/26 16:44

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あなた

ハァ…ハァ…


ドンッ!






走っている途中、誰かにぶつかる
あなた

あ、すみませ……

仙蔵
仙蔵
大丈夫か?廊下は走るなよ笑
あなた

た、立花先輩!

仙蔵
仙蔵
どうした、随分思い詰めた顔をしているな?
仙蔵
仙蔵
私でよければ、話を聞こう

そうだ!学園一クールな立花先輩なら…!









そう思い、口を開こうとした私だったが、








立花先輩が紡いだ次の言葉で、それは叶わなくなった
仙蔵
仙蔵
その前に……すまない、血をくれ
喉が乾いて仕方ないのだ

だ、だめだ……立花先輩も……









咄嗟に身の危険を感じ、その場から逃げ出す









立花先輩の引き止める声なんて聞こえる訳がなかった

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
あなた

どうして……一体どうなってるの…?


自室に戻った私は、部屋の隅で蹲り、頭を抱えた








さっきの伊作先輩といい、立花先輩といい……









この学園の中で一体何が起こっているのだろう
あなた

2人とも……吸血鬼みたいだった……


2人の先輩方の豹変ぶりに震えが止まらなくなる









その時、「失礼しますよ」という優しい声とともに、襖が開いた
あなた

……に、新野先生……

新野先生
新野先生
あなたさん……忍たまたちには、もう会いましたか?

その問いに、私は恐る恐る コクン と頷く









それを見た新野先生は「そうですか……」と俯いた
新野先生
新野先生
……あなたさん、これから話をしますが、落ち着いて聞いてくださいね

そう前置きをしてから、新野先生はゆっくりと話し始めた










あなた

は、はぁぁ!?い、井戸の水に異物質があったって……

新野先生
新野先生
本当です。実は彼らに違和感があったのは、昼休み頃……昼食の後からでした
あなた

昼食の後……?

新野先生
新野先生
午後の授業の後、教室に誰も残らなかったのではないですか?
あなた

はっ……そう言われてみれば……


私は今日の午後の授業の後、4年ろ組の全員が一斉に教室を出ていったのを思い出した









いつも休み時間に駄弁っている同室のタカ丸さんでさえも
タカ丸
タカ丸
ごめんあなたちゃん、ちょっと喉乾いちゃったから、水飲んでくるね

と言って出ていったのだ
新野先生
新野先生
その時、忍たまたちが飲んだ井戸水の中に異物質が混ざっていたようで……
新野先生
新野先生
その物質が彼らの体内の何らかの成分と反応し、あの吸血鬼のようになってしまったのだと、私は推測しています
あなた

と、いうことは…今、学園中の忍たまがあのような状態という事なんですか…?

新野先生
新野先生
そういうことになりますかね……
新野先生
新野先生
とにかくあなたさん、あなたは危険です
今日は1日、部屋から出ないでください
あなた

わ、分かりました……


いいですね? と念を押してから、新野先生は帰られた
あなた

……どうしよう……


忍たま全員が吸血鬼……?









いつもはかっこいい先輩たちも……









かわいい後輩たちも……









そう考えただけでも、動悸が速くなるのが分かった

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