駿佑side
駿佑『…っあぁ!』
俺はイライラして頭をぐしゃっとした。
なんでこんな余裕ないんやろ。
駿佑『…』
あなただって怖かったやろうな。
涙目やったし。
嫌われて当然や。
あなた『道枝』
駿佑『…ぇ』
するとドアが開いてあなたが後ろから抱きついた。
あなた『…ごめん』
駿佑『…』
あなた『…仕事忙しいのに…イライラさせちゃって…』
駿佑『あなたは悪ないよ』
そう言って俺はあなたの腕をゆっくり離す。
そして振り返る。
駿佑『…俺、余裕ないねん』
あなた『…?』
駿佑『…あなたのこと本気で好きやから』
そう言うと
あなたは俺の頬を優しく手で包んだ。
あなた『…ごめん』
駿佑『…いいよ』
あなた『…』
まだ納得いってないようなあなた。
俺は思いっきり抱きしめた。
駿佑『これでチャラにするから』
あなた『…わかった』
好きな人って、こんな偉大なんやな。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!