恭平『つけてあげる』
あなた『…』
すると高橋恭平は私の髪に優しくつけてくれた。
その手は頬に下がった。
そのまま優しく顔を近づける。
私は目をつぶった。
あなた『…』
恭平『…嫌がらんの?』
あなた『…』
目を開けると高橋恭平は私をじっと見ていた。
今、彼を受け入れてた…?
これって…
あなた『…なんか、嫌じゃない』
恭平『…え』
あなた『…キス、して』
そう言って私は彼の手に優しく手を重ねた。
彼の喉がゴクッと鳴る。
恭平『…ええの?』
あなた『…うん』
恭平『…』
恭平『…いや、あかん』
あなた『…え?』
恭平『…ハッキリさせてからにしよ』
あなた『…』
恭平『…まだ、道枝がおるんやろ?』
やっぱり、頭の隅にいるのはいつも道枝駿佑。
でも、何故か高橋恭平も気になる。
頭にいつもいる道枝駿佑。
やっぱり気になる高橋恭平。
この二人の間で私の心は揺れていた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!