寮に戻り、お風呂に入った。
私は浸かりながら考える。
あなた『…多分ここにいる皆知ってるよね』
私が女だってことを。
なんとなく、気づいているはず。
私はお風呂を出た。
あなた『…あれ』
何故かヘヤピンがない。
いつもお風呂上がりにつけるんだけど。
あなた『…部屋かな…』
でも、持ってきたはずだ。
するとドアがノックされた。
開けると大橋和也。
和也『これ、落とした?』
あなた『…あ!それ!』
そう言ってヘアピンを渡してくれた。
すると大橋和也はヘアピンを見る。
和也『…緑なんやね』
あなた『うん、緑好きなんや』
和也『…そうだ!髪乾かしてあげる』
あなた『え、いいの?』
和也『うん!』
そう言って私達はリビングへ向かった。
大橋和也がソファに座って、私はその前に座る。
和也『じゃあ、乾かしまーす』
あなた『はーい』
大橋和也は乾かすのが上手で眠くなってくる。
和也『…俺を見てや』
ドライヤーの音で何も聞こえなかった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。