ある程度観光が終わり、楽しみが増えていざ帰宅。シュナちゃんはお店の方で何か用事があるみたいでそこから私一人で戻るみたい。
だいぶ日も暮れてきて、オレンジ色の空が広がる中、一人の少女に目が止まる。
騒がしい大通りとは違い、少し人気の少ない細道。
小学生くらいの年頃のように見えるその少女は汚れで茶色くなったワンピースを着て、ヨレヨレと駆け足をしていた。
遊びに行ってたのかな?
その時はあまり気にもしていなく、今日買ったお菓子をポリポリ食べながら歩いていた。
カチャンカチャン
金属が摺れるような音が少女とすれ違った時に聞こえ、振り向く。
少女の後ろ姿に目をやると、音の正体に目を見開く。
「は?」
その少女は足枷をつけていたのだ。
どうゆうこと...?
「ちょっと待って!」
少女の腕を取り呼び止める。
「ねぇ、なんで足枷なんてつけてるの?」
少女『...』
全く答えようともしない少女は光のない目をしていて顔は汚れで所々黒かった。
「お姉ちゃんに話してみ。大丈夫。」
少女『助けて...』
下を向く少女はどこか苦しげに小さな声で囁いた。
「うん!絶対、助ける。」
理由は分からないがこの子を救おう。そう決心した。
○○『おーーい。ネズミー。どこいんだ。』
遠くから男の人の声が聞こえて、その声で何故か怯え出す少女。
とにかく連れ出さなきゃ。
少女を抱えて走り出す。
とにかく遠くに走った。
リムルさんの元へ連れていこうかと思ったが、そんなことはまだ出来ない。
なんせ信用出来ないからだ。
この国は奴隷のようなものがあるのか...?
何としてでもこの子は救わねば。
○○『おい!アイツじゃねぇか?』
やばい!見つかった!
とにかく走るも、相手が大人数で逃げきれない。
○○『おいおい、お姉さんよぉ。そいつは俺んだ。返しやがれ。』
「あんたら何。この国の人?」
○○『なんで俺がお前の質問に答えなきゃなんねぇんだ?』
ごつい男が何人か迫ってきて、私は少女を自分の後ろへ隠した。
「怯えてんだよ。何したの。」
睨みを利かせてる相手にひきをとらない。
○○『あぁ?そいつァ俺の奴隷だよ。』
○○『この汚ぇネズミを俺が引き取ってやったんだ。』
来たねぇネズミ?
怒りが込み上げてくる。命をなんだと思ってるんだこいつらは。
「ねぇ、それ以上喋ると殺すよ?」
○○『っは。お前今自分の立場分かってんのか。あぁ?』
○○『丁度いい。お前も奴隷にしてやろうかぁ??』
「補獣魂できるよね?」
〝当たり前だ。〟
私の呼び掛けに応じ、補獣魂が虎の姿になり牙をむき出す。
○○『な、なんだよ...そいつぁ!』
一声吠えると一瞬で彼らは気絶した。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。