第254話

「2P」VSその11
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2020/11/20 04:19
「2P」VSその11


シモツキの後を追った隼を見送った始
余計な思考は振り払い目の前の敵に集中する

ムツキ)1人が怖いか?
始)まさか、俺たちは何処にいても繋がっている。
ムツキ)笑わせる、人は所詮孤独な存在だ。
故に絆、友情、愛などと世迷いごとに縋り付く。

始)何故そんなに人との繋がりを否定するんだ。
ムツキ)人は平気で裏切り人を傷つける、
そんなやりとりをこの世界で幾度と見て来た。
始)それは..
ムツキ)ゲームの世界なら何をしてもいいと?
そんな思考の奴は現実でも同じ事を平気でする。
上辺だけの言葉で固められた絆になんの意味がある。

ムツキが剣を構え切先を始へと突きつける

ムツキ)そんな現実など必要ない、
俺たちが新たな世界となり世界の在り方を変える!

ムツキの言葉を受け止めて静かに剣を構え言う

始)確かに、現実世界は理不尽な事も起こる
だが、それを乗り越えた先に本当の絆があるんだ。

ムツキ)どちらが正しいか決めるとしよう。
始)負けるつもりはない!

互いに前へと駆け出し剣を交える
ギィィン!と刃のぶつかる音が響き渡る

ステータスもスキルも技量も同じ
拮抗した戦いに焦れた始が一歩飛び退き
低く斬りつける
素早く反応したムツキは体制を低くして剣を受け
そのまま前へと踏み込む

始)ッ!?

低い姿勢で後ろへと重心が変わり
始がバランスを崩す
そこを見逃さず斬り込むムツキ

ムツキ)そこだ!
始)ぐっ!...

かろうじて右足で踏みとどまり剣を受け止める
上から押さえつけるように剣を当てられ
耐えるのが精一杯だった

ムツキ)その程度なのか、俺のオリジナルは。
始)っ...あああ!!

ぐっ、と力を込めて全力で押し返し
すかさず追撃を与える

ムツキ)っ!?
始)そんなわけないだろ、まだまだここからだ。
ムツキ)ふっ、面白いやってみろ!

ドォオオン!!
爆発音と共に空気が震える

ムツキ)!?
始)!?
ムツキ)シモツキ、派手にやってるようだな。
始)隼...
ムツキ)気になるか?安心しろお前も死地へ
送ってやる。
始)隼は負けないと言ったその言葉を俺は信じる。
ムツキ)まだ綺麗事を吐くか。
始)それはお前もだ。
ムツキ)何?
始)お前はシモツキが勝つと信じてるんだろ?
俺が隼を信じてるのと何も変わらない。

ムツキ)...アイツとは付き合いが長いだけだ。
始)それが絆じゃないのか?
ムツキ)うるさい、黙れ...

再び斬り込むムツキ
だが心が乱れた剣撃は始に読まれ全て躱される

始)何故そこまで頑なになるんだ。
ムツキ)リアルで生きるお前には分からない。
始)だからと言って全てを切り捨てるような事は無いはずだ。
ムツキ)黙れ!

フッとムツキの姿が目の前から消えた

始)!?(反射的に振り返る)

背後へと現れたムツキが魔法を放つ

ムツキ)マインドブレイク。
始)っ!

ムツキの魔法を受けた始は
その場に立ち尽くしたまま動かなくなった

ムツキ)永遠の孤独を味わうといい...


・・・

黒曜の城、城外

海)しっかりしろ!隼!
隼)...どうやら助かったみたいだね。
海)急に目の前に降ってくるから驚いたぞ!
隼)成る程、律儀だね彼も。
(視線を海の後ろに送る)

フヅキ)起きろ、シモツキ!
シモツキ)....

シモツキのゲートに落とされた隼は
城へと向かっていた海の目の前に飛ばされた
そしてシモツキはそのまま落下していた所を
フヅキに助けられたが意識が戻らないようだ

海)派手に怪我しやがって、
陽達と連絡取ったからもう少し我慢しろよ。
隼)その様子だと陽達も勝ったみたいだね。
海)あぁ、陽達も涙達も勝ったとさ。
隼)みんな流石だね。

海)あとは...大ボスか。
隼)大丈夫だよ、僕らの王様だからね。


信じ合う心、仲間の絆は
どんなに離れていても繋がっているから


2P「VS」その12へ続く

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