第37話

ヴァンパイアシリーズ 涙、海、陽
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2019/08/21 11:10
ヴァンパイアシリーズ

ブラッディムーンナイト〜12の月夜の物語〜

第七夜

この街には、12人のヴァンパイアが住んでいる日中は平和なこの街も、夜になれば彼らの餌場に変わる。

貴女が開いている小さなお菓子屋さん、毎日沢山のお客さんに恵まれた人気店

今日も夕方には全て売り切れ、早めの店仕舞いをしていた。

)キッチンと店舗の掃除も終わり、明日の準備もバッチリね。

だけど、閉店の看板はまだ出さない

)もうすぐ来るかな?

待っているのは、毎日夕陽が沈みかける頃にやって来るお客さん

カラン、

)いらっしゃいませ。

涙)こんばんは、今日も有りますか?

ドアをそっと開けて、ピョコっと顔を覗かせて店内を伺う青年、お目当は貴女が作ったプリン

)ちゃんと、涙くんの分は取ってあるからね。

涙)ありがとう✨

プリンを買ってすぐ帰るのが彼のお決まりなのだが、今日は違った。

涙)ここで、食べてもいいかな?

)私は構わないけど、帰らなくていいの?

涙)ちょっと、帰りたくなくて。

(誰かとケンカでもしたのかな?)

そう思った貴女は、

)そうだ、そのプリンをもっと豪華にしてあげる。

涙)えっ?

冷蔵庫から、残った生クリームと果物を持って来てプリンを飾り始める。

)ほら、プリンアラモードの完成!

涙)うわぁ✨ありがとう!

嬉しそうにプリンを食べる彼を見ながら、使った道具を片付けていたのだが、

)イタッ!

誤って、果物ナイフで指を切ってしまった。
指から血が流れる....。

カラン、

彼の手からスプーンが落ちる...

)新しいの持って来るね。

そう言って背を向けた瞬間、彼に後ろから手を掴まれた。

涙)血の匂いがする...甘くて...いい匂い。

)涙くん...どうしたの?

掴まれた手はとても冷たくて、彼が人ではない事を教えてくれる。

涙)ごめんね...。

手を引き寄せられて傷口に噛みつかれる

)涙くん、何して!

涙)美味しい...プリンよりもずっと。

驚きで動けない貴女の首に牙を立てるその姿はまるで、獣のようだった。

涙)もっと...もっと頂戴?いいよね、お姉さん


終わり

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ブラッディムーンナイト〜12の月夜の物語〜

第八夜

この街には、12人のヴァンパイアが住んでいる日中は平和なこの街も、夜になれば彼らの餌場に変わる。

貴女は毎夜、街はずれ広場に向かう。
あの男に会うために...

海)よお!今日もちゃんと来たんだなw

)今日こそ、お前を倒してみせる!

貴女は、ヴァンパイアハンターとして生活をしていたが、この街でこの男に会ってから一度も仕事は成功していない。

海)それで、今日も賭けるんだよな?

)お前の本気を引き出せるなら、血ぐらいくれてやる!

海)あぁ、アンタの血が飲めるなら本気くらい出さないとなw

この男の本気に勝つために、自らの血を差し出す。それがこの勝負のルール。

武器を構え、姿勢を直し、息を吐く
そして、男に向かい走り出す....!

)くらえ!

だが、その切っ先は弾かれ腕を掴まれ動きを封じられる

海)はい、ご苦労さんw

)くそ!離せ!

海)暴れるなって、アンタはまた勝負に負けたんだ。

また、負けたその事実に涙が溢れる

海)....まったく、泣くなよ。

チュッと涙を吸われ、驚きで思考が止まる

ペロっと唇を舐める仕草に顔が赤くなる

海)ははw アンタは涙も甘いのな。

そっと首元を緩められ、冷たい手が滑る

海)でも俺は、こっちの甘さが好きだけどな。

笑いながら、牙を押し込まれる
少し荒く、深く、牙を突き立てられて

)痛い...。

海)痛い...か、だけどそれだけじゃな筈だ。

)ァ...。

甘い痺れと、むせ返る鉄の匂いにどうでも良くなって意識を手放しそうになるのを、さらなる痛みで引き戻される。

海)寝るにはまだ早いだろ、楽しもうぜ。

深く、深く、牙を突き立てられる
まるで、自分の物だと主張するように。

海)諦めろ、アンタはもう俺の物だ。

夜は更けていく....。


終わり

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ブラッディムーンナイト〜12の月夜の物語〜

第九夜

この街には、12人のヴァンパイアが住んでいる日中は平和なこの街も、夜になれば彼らの餌場に変わる。

貴女はこの街に住む貴族の娘
厳しく育てられた貴女には息苦しさを感じていた。

ある日、貴女に縁談の話が舞い込んで来た
相手は隣町の貴族の男なのだが、貴女とは年齢が離れている

そう、これは政略結婚.....

)うう...ひどい...。

悲しくて、悔しくて、貴女は夜中に1人、部屋で泣いていた。

陽)お前に、涙は似合わないな。

カタン、窓が開き男が入って来る

)陽、また来たの?

陽)言っただろ?俺はお前の血が気に入ってるんだって。

気がつけば、ベッドに腰掛けられていて

陽)何があった?

)私、来月に隣町の貴族の方と結婚するの。

陽)結婚!

父親に言われた事を話す...

)結婚に夢を見てたわけじゃ無いけど、自分より年上の人なんて...。

また、涙が溢れる

陽)泣くな...血が不味くなる。

ドサッっと、ベッドに寝かされて

)陽?

陽)俺が....忘れさせてやるよ。

首筋に牙を突き立てられる
優しく、深く、甘さだけを与えられる

)ゥ.....ッ...。

次第に浮遊感の様な感覚に意識が薄れて、

陽)俺に永遠の命を与える力があるなら、お前を手離しはしないんだがな。

遠のく意識の中で、彼が泣いている気がした

翌日、屋敷は事件に慌ただしくなる
その話は街中に瞬く間に広がっていく

貴族の娘がヴァンパイアに襲われたらしい、
穢れた娘は、教会に入れられ修道女として生きなければならないと

)陽...。

わざと残された首筋の噛みあとに、彼の優しさを感じた


終わり

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