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第13話

*ステージ-13*
不意に頭上から聞こえてきた声に、愛璃は顔を上げた。するとそこには、影人がにこりともせずに立っていた。声をかけてきたのが影人だとわかった瞬間、愛璃は顔を背け、不機嫌そうな声で言った。
愛璃
なんであんたが話しかけてくるのよ……影人。前に話しかけたとき無視したのは、そっちじゃんか。急に"手伝う"とか……ふざけないでよ。
それを聞くと影人は、愛璃の顔をむんずと掴み、無理矢理視線を合わせて、こう言った。
影人
じゃあ聞くけど。その歌詞、完成できなくていいの?
愛璃は、顔は掴まれたままだが、目をそらす。
愛璃
いいわけ……ないじゃん。
愛璃は、消えてしまいそうなほど小さな声で呟く。影人は、その言葉を聞くと、優しく微笑んだ。
影人
……あのときは、無視しちゃってごめん。俺、あんまり女の子と学校で話すの得意じゃなくて……。あのときも、緊張して、逃げちゃったんだ。その、だから、お詫びといったらなんだけどさ、手伝いたいと思って……。
愛璃は、そらした目を合わせる。影人のガラスのような瞳には、愛璃だけが映っていた。それを見て、まだ信じきれないところもあるけれど、とりあえず今は助けてもらおうと思った。
愛璃
……ありがとう。じゃあ、さっそくなんだけど──
愛璃と影人は、作詞にとりかかった。影人の的確なアドバイスのおかげで、作詞はどんどん進んでいき、1時間経った頃には、曲名を考えるだけになった。
愛璃
うわぁ、あんなに悩んでたのに、もうできちゃった!ありがとう、影人!!
愛璃は、笑顔でお礼を言った。作詞を進めていくごとに、愛璃と影人の距離は縮まり、1時間前の様子が嘘だったかのように、2人は仲良くなっていた。
影人
どういたしまして!……曲名は、俺の力を借りずに自分で決めた方がいいと思うんだ。俺は確かに手伝ったけれど、歌詞をつくれたのは、他でもない愛璃自信の力なんだからさ。
影人も、優しく笑い返す。愛璃は、歌詞の書かれた紙を見ながら、返した。
愛璃
実はもう、曲名は決めてあるんだよね。この曲の名前は……
そこで、紙から影人へ目を移す。そして、一言一言を噛み締めるように、ゆっくりと告げた。
愛璃
『恋の証明論』