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第19話

*ステージ-19*
目を覚ますと、そこは自室のベッドの上だった。枕の脇に置き手紙を見つけ、愛璃はまだ霞んでいる瞳を擦りながらその手紙を読んだ。
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『体調大丈夫?……っていうか、倒れたの俺のせいだよね。……ごめん。……でも、あの言葉、撤回する気はないから。ちゃんと、俺と向き合ってほしい。 優』
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手紙を読み終わる頃には、瞳の霞は消えていた。それに続くように、頭も目を覚ます。
(愛璃)そうだ、昨日……愛璃、優さんに告白されっ……。それで、演技ができなくなっちゃったんだ。
あのときの自分がまぶたの裏に映るたび、恥ずかしさと情けなさに目を覆いたくなる。
(愛璃)とっとりあえず……中島さんに連絡……
まぶたの裏に映る自分から目をそらすかのように、愛璃はスマホを手に取った。画面を開き、中島に電話をかけようとするが、通話ボタンを押す手前で、指が止まる。
『電話して、いったいどうする気なの?何を話すの?』そんな声が、頭に響く。
愛璃は、頭を振ってその声をかきけすと、震える指で、通話ボタンを押した。
~・~
影人
愛璃、大丈夫?……何があったの?
それから約30分後、愛璃の目の前には、心配そうな顔をした影人が座っていた。
愛璃は結局、中島に連絡を入れることができなかった。代わりに、半ば頼るようにして影人を呼んだのだった。
影人に、唇を震わせながら、昨日起こったことを話す。
影人は、時折軽く相づちをうちながら聞いてくれていたが、愛璃が話し終わった後、静かにこう聞いてきた。
影人
愛璃は……さ、優さんのこと、好きなの?
数秒、沈黙が流れる。その後愛璃は、消えてしまいそうなほど小さな声で、呟いた。
愛璃
わかんないよ……好きとか……好きじゃないとか……。それに──
影人
じゃあ
影人は、愛璃の声を遮った。そして、愛璃の右手を両手で優しく包み込み、はっきりと言った。
影人
……もし、愛璃の不安を大きくすることになったらごめん。……俺も、愛璃のことが好きなんだ。
それを聞いた瞬間、愛璃の瞳に涙が浮かんでくる。それを見ると、影人は一瞬申し訳なさそうな顔をしたが、愛璃から手を離すと、笑顔をつくって、こう言った。
影人
返事は、映画の撮影が終わったあとにもらえたら、嬉しい。
愛璃の頭には、『映画の撮影が終わったあと』という言葉が、2つ浮かぶ。愛璃が呆然としている間に、影人は扉の前まで移動し、部屋から出ていこうとする。それに気づいた愛璃は、叫んだ。
愛璃
待って、影人!!愛璃、映画が終わったあとにはっ──!!
愛璃が言い終わる前に、影人は愛璃の方を振り返り一瞬微笑んだあと、部屋から出ていってしまった。
1人残された愛璃は、溢れる涙を拭おうともせず、扉の方を見つめながら、言葉を続けた。
愛璃
映画が終わったっ……あとにはっ……、
そこから先が、愛璃の口から紡がれることはなかった。

『ニューヨークに行かなきゃ、いけないの。』