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第8話

*ステージ-8*
愛璃が芸能科に編入してから、2週間が経った。芸能科での友達や、アイドルとしての仕事も増え、充実した日々を送っていた。
そして今日は、初のドラマのオーディションの日だった。
早めに家を出てオーディション会場に来たつもりだったが、すでに中には大勢の人がいた。
愛璃が受けるのはサブヒロイン役で、『まだヒロインをやるには実力が足りない』という中島の判断と、"明るく素直な性格が愛璃らしい"という自己判断の上に決めたことだった。
オーディションの詳細は、全く知らされていない。あと少ししたら、審査委員長が出てきて、説明をしてくれることだろう。
愛璃は、今、審査委員長の登場と、オーディションについての説明を緊張しながら待っている最中だった。
しばらく経って、ピリッと張り積めていた会場に、爽やかでいてかすかな色気を感じるような、少年の声が響き渡った。
レディースアーンド、ジェントル……あ、ここにジェントルマンは俺しかいないのか(笑)えーっと、皆さん、こんにちはー!知らない人はいないと思うけど、俳優の春野優です!このドラマのヒーローと、今日のオーディションの審査員をしまーす!あ、出てきたのが審査委員長じゃなくて俺でゴメンゴ♪
会場に現れたのは、審査委員長ではなく、無邪気な笑顔をたたえた今大人気の若手俳優、"春野優(はるのゆう)"だった。
最近製作されたドラマや映画などのヒーローといえばほぼ優が演じており、その人気は俳優としてだけにとどまらず、CMやバラエティー、最近はアイドルとしても活躍を見せている。それほど幅広いジャンルで活躍しているにも関わらず、俳優としての活動を1番に考える真っ直ぐな姿勢が、多くの人に評価されている。
つまり、日本を代表する、といっても過言ではない、人気芸能人なのだ。
今回のオーディションがほぼ何も知らされないまま行われたのも、優目当てでオーディションを受けに来る人を集めないためであろう。
会場に集まっているのは、ほぼ全員、すでに芸能人としてそれぞれ活躍している人ばかりだが、それでも、優の登場にざわめきたっていた。
愛璃ももちろん、その1人だった。
(愛璃)春野優ぅ~!?EITOと同じか、それ以上の人気を誇る芸能人じゃん!もしも愛璃がサブヒロイン役受かったら、あの優と共演しなきゃいけないってこと!?聞いてないよおぉ~!!
ざわめきが落ち着きかけたところで、優が再び口を開いた。
はーい皆、静粛にー!人気俳優の登場に驚くのはわかるけど、ちょっと静かにして俺の話聞いてねー?今からこのオーディションの説明をします!審査内容は簡単!今から渡される紙に書いてあるセリフで、俺と一緒に演技するだけ!以上♪
優が話し終わるとほぼ同時に、スタッフがオーディションの受験者にセリフのかかれた紙を渡し始めた。少しして、その紙は、愛璃のところにもまわってきた。
その紙にかかれていたのは、たった4行のセリフだった。
─・─・─・─・─・─・─・─・─・─・─・─
お前のことが好きなんだ。あいつじゃなくて、俺と付き合ってほしい。
あなた
どうせ嘘なんでしょ?からかわないで!
本気だよ。これだけは信じてほしい。
あなた
っ……!私も、大好き!
─・─・─・─・─・─・─・─・─・─・─・─
セリフを読んだ愛璃は、かすかに顔を歪めた。
(愛璃)うぅ、難しそう。それも、相手は優だし……。
全員がセリフに目を通し終えた頃、優が話し始めた。
んじゃーそろそろいっかな?早速始めるよ!あ、セリフのちょっとした変更はOKだから、そこんとこよろしく!はーい、1番の人、移動してくださーい。
そうして、オーディションが始まった。
(愛璃)愛璃は29番か……。よし、絶対受かってみせる!!