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第10話

*ステージ-10*
愛璃の後を優が続き、2人で審査室の中に入る。中には、審査委員長と数名の審査委員が、長机を前に座っていた。
優が扉を閉め、2人で部屋の中心に移動する。そして、2人の目があった瞬間、演技が始まった。
『お前のことが、好きなんだ!……あいつじゃなくて、俺と付き合ってほしい。』
優がセリフを話した瞬間、審査室の中の空気が変わった。優の顔は強気だが、声からは、不安がひしひしと伝わってくる。完全に、目の前の女子に恋をしている男子だった。
愛璃は、その言葉を聞き、驚きや戸惑いの混じりあった顔をした。──一瞬、瞳が輝き、愛璃の頬に一筋の涙が流れた。
愛璃
『どうせ……嘘……なんでしょ?』
そう話す声には強い悲しみがこもっているが、顔には、その悲しみを欺こうとしているような切ない笑顔が張り付いていた。が、次の瞬間、涙を流したまま、怒りに顔を歪め、声を荒らげた。
愛璃
『からかわないでっ!』
優をまっすぐ見据え、そう言い放つ。そして、顔を背け、口を覆って抑えきれない嗚咽を堪えようとする。
優は、そんな愛璃の姿を見て、何か声をかけようと手を伸ばした。しかし、かける声が見つからず、拳を握り、顔を歪める。数秒間、愛璃の嗚咽だけが響き、ついに優が口を開く。
『本気だよ。……俺のことなんて、もう信じられないと思う。けど、これだけは、これだけは信じてほしい。』
そう言い、いまだ嗚咽を漏らしている愛璃の肩に、優しく手をかけた。
愛璃は、手をかけられた瞬間、びくりと体を震わせ、涙を止めた。そして、顔を俯けたままゆっくり立つと、まだ目元に残る涙を軽く拭い、優の手を握りながら、笑顔で言った。
愛璃
『私も、大好き!』
数秒たった後、愛璃は審査委員の方を向いた。その顔は、先ほどまで泣いていたとわからないほど落ち着いており、演技が終わったのだと悟らせる。
愛璃
ありがとうございました!!
愛璃は、そう残すと、優と軽く視線を合わせ微笑んだ後、審査室から出ていった。
愛璃が出ていった後の扉を見つめながら、優は驚きに目を見開いた。
まさか、俺にアドリブを使って演技をさせるなんて……!