第16話

「闇夜の襲撃」
124
2018/09/26 11:56
ある日、昼見世の支度していると、突然香純さんに呼ばれた。
楼 香純
楼 香純
この間、私が相手をした客が酔っ払って口に出したことなんだけど...。
諸星 明日香
諸星 明日香
は、はい。
楼 香純
楼 香純
客の仲間が暁ノ刃を隠し持っているみたいなの。それが、裕道くんの持っているような真の力をもつ物なのか、あるいは狐面男が持っているような未完成の物なのかは判定できない。だから、それを調べるために彼らの家に侵入しようかと思っているの。
そうだ。忘れていた。
私は香純さんに頼まれてくノ一をやっているんだった。
諸星 明日香
諸星 明日香
調べてどうするんですか?まさか...
楼 香純
楼 香純
そのまさかよ💕
つまり香純さんは、彼らの隠し持っている暁ノ刃を盗んで壊そうという作戦をたてている。
それはもちろん、そんな幻の凄い力を持った刀を所持しているとどんなことに悪用されるかもわからないからだ。
もしかしたら、香純さんが大好きなこの京都まちを滅ぼそうと企てている雨宮順平率いる烏丸革命隊と同じ目的かも知れない。
楼 香純
楼 香純
最悪の場合、その武士たちを斬る。
諸星 明日香
諸星 明日香
斬るんですか...!?
楼 香純
楼 香純
疑わしきは罰する。それがこの時代の流儀なの。私も、月宮団も。
人を斬ることは嫌いだ。怖いし、恐ろしい。
でも、私は人を殺したことがないと言ったら嘘になる。
朱紗屋事件のとき、私は3人武士たちを斬った。
諸星 明日香
諸星 明日香
わっ...わかりました。
以前香純さんに貰った小太刀をそっと懐から取り出し、ぎゅっと握った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そうして夜月が顔を出す真夜中。
私は香純さんから黒色の忍びのような服を着させられ、小太刀を懐にしまい遊郭を出た。
もちろん、私がくノ一をやっているなんてことは香純さん以外誰にも言っていない。
もしもばれたりしたら即月宮団に斬られる。
私は髪を束ねていつもと雰囲気を変えてみた。
...これでばれないとは断言できないけど。
楼 香純
楼 香純
この先にある屋敷に彼らがいる。
諸星 明日香
諸星 明日香
私が裏から回って1階の床の間に入ればいいんですね。香純さんも早く来てくださいよ。
楼 香純
楼 香純
えぇ、すぐ行くわ。そこに暁ノ刃があったら口笛をなるべく長く吹いて欲しいの。そしたら私はあなたのところへ行く。逆に、私が忍び込む2階にあったら私が吹く。明日香はすぐに私のもとにきて。いいわね。
諸星 明日香
諸星 明日香
わかりました。
私は香純さんと二手にわかれてその屋敷に忍び込んだ。
私は1階を忍び足で暁ノ刃を探し回った。
すると、誰もいない床の間に、例の暁ノ刃があった。
私は作戦通り口笛を吹いた。
武士A
なんだこの音は?!
「口笛か!?」と刀を抜こうと辺りを見渡す数名の武士が部屋から出てきた。
私は物陰にそっと息を潜める。

その時だった。
突然玄関から大勢の武士が入ってきた。
諸星 明日香
諸星 明日香
何?!
私は暁ノ刃を握りしめ、いまだ来ない香純のいる2階へ駆け上がろうと廊下をでたその瞬間ー。
諸星 明日香
諸星 明日香
っー!!!
大勢の武士が刀を抜いて斬りあっていた。
その武士たちには黄色の羽織を来た、見た事のある容姿だった。
諸星 明日香
諸星 明日香
...月宮団...!!!??
どうして彼らがここに居合わせているの!?
すると背後から「何者だ!」と聞き覚えのある声がした。
島津 裕道
島津 裕道
っ...!!明日香...か?
ばっと後ろを振り向くと、そこにはしまが刀(通常の)を構えていた。
しまは酷く驚いていた。
諸星 明日香
諸星 明日香
(や、やばい!!!!)
私は何も言わず、急いで上に駆け上がった。
しまは「待て!」と追いかけてくる。

顔を思いっきり見られてしまった!
これは本当に緊急事態だ!
諸星 明日香
諸星 明日香
(香純さん...いた!!)
香純さんは丁度1階に降りようとしているところだった。
楼 香純
楼 香純
一体何事なの?
諸星 明日香
諸星 明日香
月宮団がこの屋敷を襲撃しにやって来たんです!急いで逃げないと正体がばれます!
私は小声ながらも怒鳴るように言い放った。
後ろから「誰だ!」としまが息を切らしながら追いつけてきた。
しまは暁の力を使うたびに寿命が縮んでいるため、走ったり激しく動くと体力が通常の何倍も浪費してしまう。
楼 香純
楼 香純
ほなさいなら💕
そう言うと香純さんは白い煙幕を投げつけてしまの視界を阻む。
島津 裕道
島津 裕道
くそっ!
その隙に香純さんは私をお姫様抱っこをして、2階の窓から飛び降りた。
諸星 明日香
諸星 明日香
きゃぁっ!!
楼 香純
楼 香純
逃げるわよ!走って!
諸星 明日香
諸星 明日香
はっはい!
私たちは屋敷を後にし、遊郭へ戻った。
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島津 裕道
島津 裕道
...何者なんだ...。
九十九 京助
九十九 京助
裕道、今しがた叫ぶ声が聞こえたが。何かあったのか。
島津 裕道
島津 裕道
九十九さん。みろよ、これ。
九十九 京助
九十九 京助
これはっ...
そこには明日香が落とした未完成の暁ノ刃があった。
九十九 京助
九十九 京助
例の...暁ノ刃か。何故なにゆえここに落ちている。
島津 裕道
島津 裕道
さっき、くノ一が現れた。こいつを盗もうとしたんだろう。
九十九 京助
九十九 京助
くノ一?それはまことか。
島津 裕道
島津 裕道
あぁ。偶然居合わせたんだろうよ。俺に見られてすぐ逃げて行ったけどな。
九十九 京助
九十九 京助
...何か難しい顔をしているな。逃がしたことを後悔でもしているのか。
するとしまは少し間を開けて、何か考えてから「まぁな。」と呟いた。
九十九 京助
九十九 京助
気にかけることはない。あくまで今回の我々の務めはここの不逞浪士を斬ることだ。くノ一は別の機会でよいだろう。
九十九は裕道に背を向けたまま言った。
九十九 京助
九十九 京助
浪士たちは皆抑えた。怪我を負った隊士もいる。俺達も撤収するぞ。
島津 裕道
島津 裕道
...あぁ。
裕道は落ちている未完成の暁ノ刃を手に取って屋敷を後にした。
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一方その頃遊郭では。
諸星 明日香
諸星 明日香
どうしよどうしよどうしよどうしよどうしよううううううう!!
楼 香純
楼 香純
まぁまぁ落ち着いて明日香。
諸星 明日香
諸星 明日香
これが落ち着いていられますか!!!?顔を思いっきり見られたんですよ!殺される...私もうあかんわぁぁ泣
楼 香純
楼 香純
明日香、私にひとつ提案があるの。聞いてくれる?
諸星 明日香
諸星 明日香
な、なんですか...
その内容は如何にも重大なことだった。
ひとつは私を印象付けるものの一つと言っても過言ではない、この長い髪をばっさり切ってしまうということだった。
そうすることで、しまと出会ったあの長い髪をひとつに結んだくノ一とは別人という証拠もできる。
つまり、私がくノ一ではないというアリバイ工作をつくること。

2つ目は、月宮団から離れてこの麻蔵遊郭の遊女として廓に住むということだ。
そうすれば月宮団と距離を置くことになるため、正体がばれることを恐れず生活ができる。

しかし、どちらにしろ絶対に安全だとは言いきれない。

私の答えは































“やります。”














その答えを出したときは、まだ予想だにしなかった。

あの人に、再開するなんてー。

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