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第2話

その不審者はガチの神様でした
九条瑠衣
「か、神様……?」
神様?
おう。すげーだろ
九条瑠衣
あの……頭大丈夫?
神様?
…………あ?
 自信満々な表情から一転、氷のような無表情を浮かべる自称神様。
神様?
おい、疑ってんのかよ
九条瑠衣
そりゃ疑うわよ。いきなり神様なんて言われて信じる方がどうかしてるわ
神様?
はあ……これだから信仰心の足りんガキは嫌いなんだ
 やれやれと後ろ頭を掻きながら、その和服男は無遠慮に私のすぐ近くまで詰め寄ってくる。
九条瑠衣
ちょっ、何をっ……!
神様?
ケータイ。ガキなら持ってんだろ
九条瑠衣
え?
神様?
だからケータイだよ。ちょっと出してみろ
    不機嫌な表情のまま、ぐいぐいと迫り来る男。その強引さにかつて見た「とある光景」を思い出した私は……
九条瑠衣
来ないでっ!
 咄嗟に男を両手で突き飛ばしていた。
神様?
……いてぇな
九条瑠衣
アンタがいきなり詰め寄るからでしょうが! これ以上、変なことするなら本当に通報するから!
 僅かに震える手でスマホを取り出し、発信の準備をしてみせる私。これだけやれば流石に怯むだろうと思ったけど……
神様?
警察ねえ。呼んだところでどうにもならねえと思うが
 和服男は心底興味なさそうに、そううそぶいていた。
九条瑠衣
どうにもならないって……どういう意味よ
神様?
それを今から教えてやる。おい、それはカメラにもなれるか?
 和服男が指差していたのは私が今まさに使おうとしていたスマホだった。
九条瑠衣
カメラ機能はついてるけど
神様?
だったらそれで俺を撮ってみな。それで全て分かる
九条瑠衣
…………
 この人は私に何をさせたいのだろう。分からない。分からないけど……逆らえば何をされるか分かったもんじゃない。今ここで通報できたところで、警察が到着するまで何分もかかるだろうし、今は従うフリをするしかない。
九条瑠衣
……これで良い?
神様?
ああ、よく見てみな
九条瑠衣
見てみろって別に何も……え?
 私のスマホが映し出すのは大きな桜の木。何の変哲もない風景だった。
九条瑠衣
あれ……う、嘘……なんで……っ!?
 そう。そこにあるのはなんの変哲もないただの風景だった。
 角度を変えて試してみたが変わらない。
 私の持つスマホ、そこには……
神様?
これで理解できたか?
 目の前で意地の悪い笑みを浮かべる和服男。その姿が画面のどこを探しても存在しないのだった。