「 あなたっ 」
『 しょーたくん 』
優しいな
私のことなんか気遣わなくっていいのに
「 違うから! 」
『 なにが?
私、だいじょーぶだよ?早く帰りなよ 』
こんなことしか言えない自分が
心底 嫌になる
あの人ならもっとうまーく返すんだろうな
「 ねぇ、聞いて 」
『 いいよ。聞かなくてもわかる 』
わざわざ嫌いなんて言葉 聞きたくない
『 ただの妹だって
そう説明したらいいよ 』
自分で言ってて悲しくなる
生温い液体が頬を伝うから
しょーたくんから顔を背ける
やっぱりなにも言わないじゃん
ほら、図星だ
でも、しょーたくんには感謝しなくちゃいけない
私を必要としてくれたのは
しょーたくんだけだったから
「 ねぇ、違うから… 」
しょーたくんの弱々しい声がして振り返ると
いつもの柔軟剤の匂いが鼻をついた
しょーたくんが強く抱きしめてくれる
戸惑いながらもしょーたくんの背中に手を回す
『 しょーたく、 』
「 あれ、姉貴だから
あなた 以外に居るわけないから… 」
グスッと鼻を啜る音が遠く聞こえる
どうしよう
最低だ私
自分の事しか考えてない
しょーたくんの弁明も聞いてない
自分勝手だ
『 ご、 ごべんらさいしょーたくっ 』
子供みたいに声をあげて泣く私
みっともない
しょーたくんのスウェットを濡らしてるし
それでも今はしょーたくんを感じられたから
「 ごめんな、あなた 」
公園で2人して大号泣
その帰り道
『 しょーたくんのおねぇさん綺麗だね 』
「 えー、そう?ヤンキーだけどアイツ 」
『 しょーたくんと一緒でカッコいい 』
「 ふはっ、ありがと 」
余裕そうに私の髪をぐしゃぐしゃするしょーたくん
精一杯の背伸びをして
しょーたくんのほっぺにキスをした
「 は、ちょ、お前、それ反則/// 」
『 んへへ、大好き 』
「 家 帰ったら覚悟しとけよ? 」
これからは大人扱いしてくれるみたい
王道らぶ頑張りましたぁ😳
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。