第19話

未指定_死にたい
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2021/05/24 10:00





 『 死にたい 』


 漠然とした感情は


 口に出した途端にリアルを帯びた


 別に


 仕事が辛い訳でも


 失恋した訳でもない


 普通に生活できるお給料を貰ってるし


 人間関係にも困ってない


 嫌だった満員電車も慣れた







 なのに、死にたい





 死に場所と死に方をぼんやり考えながら


 夜道を歩く。


 今はすっからかんの公園


 いつもは子供で満ちているから


 なんだか違和感だった



 私みたいだなぁ、なんて思いながら


 ブランコを眺める





 公園の端に差し掛かった時


 ドスっ


 と鈍い音がした











 あぁ、歩いて来た人にぶつかったんだ


 他人事の様に脳が動く


 「 あぁ、すみません 」


 差し伸べられた手を掴み起き上がる



 『 いえ、 』


 「 こんばんは 」


 恥ずかしそうで柔らかなアルトの声に


 『 こんばんは 』


 メゾソプラノを合わせた





 なんとなく、もう少し散歩をしようと思った





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