第9話

Episode Eight
352
2021/01/28 11:44
紫苑
紫苑
紫苑だ
その特徴的な紫色の髪と濁ったような瞳
そしてここに来られる最後の1人という事ですぐにわかった
凛奈
凛奈
こんにちは、紫苑ちゃん
紫苑
紫苑
…うん
紫苑は軽く返事だけをして通り過ぎていった
その時微かに私の鼻を掠めたのは
〝血の匂い〟
私は特別鼻が言い訳でもなく、その匂いがしたのはほんの一瞬だけだったが、それでもはっきりわかるような匂い
そしてよく見ると服から見える肌には痣がいくつもあり、それを覆う服も何日も洗っていないのかだいぶ汚れている
そこから読み取れるのは〝虐待〟
もしかして…
嫌な予感が脳裏をよぎろうとした時
ガラガラガラ
扉が再び開いた
凛奈
凛奈
えっ
そこで私は思わず口に手を当て後退りした
何故かって、その扉を開けたのは
颯太
颯太
り…んな…
紛れもない。颯太だったから
彩乃
彩乃
あれ?昨日会った時は居なかったよね?凛奈の知り合いかなにか?
颯太
颯太
あ、あぁ…俺は颯太。凛奈の友達だ
颯太
颯太
お前らは誰だ?見た事ないけど…
颯太が声をかけるも、皆黙り込んで口を開かない
彩乃
彩乃
...颯太はどっから来たの
彩乃がその沈黙を絶った
だがあくまで自分達のことは話さずに颯太に質問を投げかける
颯太は少し間を開けたが、私が目線を送ると息をつき口を開く
颯太
颯太
凛奈の部屋から・・・・・・・来たんだ
一同は顔を合わせて驚いた表情をとる
私の部屋から来ただって...?
なんで...颯太が私の部屋に勝手に入ったって事...
凛奈
凛奈
なんで...
私がそう呟いた時、学校の鐘が鳴る
キーンコーンカーンコーン










そこから数十秒経ったか経たないかの妙な沈黙を破ったのは、
鏡の女性
みなさーん、おはようございま〜す
何処からとも無く現れたミントグリーンの服を着、所々に鏡の小物をつけた優しそうな顔持ちの女性
その女性は、どことなく先程あったガラスの先生と似ている顔立ちだった
その女性は部屋の中央まで行き、グルっと部屋の中にいる私達を見回すと話し出した
鏡の女性
〝選ばれし鏡の住民達よ。本日はこの学校に来ていただきありがたく思います。〟
鏡の女性
〝私は珂神 蜊栖かがみ らすと申します〟
〝選ばれし鏡の住民達…?〟
それに、珂神なんて苗字聞いたことない。
珂神 蜊栖
あぁ、あと…
そして私は何よりこの言葉が気にかかった
珂神 蜊栖
鏡の〝聖学生〟
〝聖学生〟
珂神さんは、それを颯太の方を向いて言ったのだ
聖なる学生…?
どういうことだと思い颯太の方を見ると
凛奈
凛奈
ふ…ぅ…た…?
そう、颯太は

























体の所々が鏡になっていたのだ

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