第13話

Episode Twelve
275
2021/06/12 12:48
狐李斗
狐李斗
僕と兄さん鏡と硝子どっちが強いか
そう睨みながら颯太くんに言う弟くん。
妖介(颯太)
妖介(颯太)
俺は戦いたくねぇけどな……。
颯太の方はノリ気で無いようで、しょんぼりしたように眉を下げ弟くんに言葉を放つ。
妖介(颯太)
妖介(颯太)
着物はあれだし、俺は向こうのでやらせてもらうよ。
そう言うと颯太は私の見慣れた姿になった。
いつもの、颯太…。
見慣れすぎて、見飽きたとさえ思っていた姿。
そして、こちら側鏡の方の姿になってからは、
何故か懐かしく、何故かとても見たいと思っていた姿だった。
颯太
颯太
…。本気か、お前。
狐李斗
狐李斗
本気じゃなかったら、兄にこんな決闘仕掛けない。
苦しそうに語る兄とは一変して、弟の方は冷静で、
見てる私までも心臓がギュッと成程冷たくて…。
凛奈
凛奈
なんで……そんなっ…。
思わず、そう言葉を零さずにはいられなかった。
苦しかったから。
颯太の気持ちが、〝わかることが出来たから〟
それは、とても悲しくて、悲しくて、やりきれなくて…。
この複雑な気持ちを〝悲しい〟という一言だけでまとめてしまっていいのかと思ってる程に。
自分に嫌気もさしてきて。
そんな〝同じ境遇〟の颯太が、
昔の自分と重なって…
どうしても同じことになって欲しくなくて。


























いや、それはただの建前であって
本当は
大好きな人が傷付くのを見ていたくなくて
それを見てるだけなのが嫌で嫌で、
好きな人を救って、彼にとってのヒーローになって、
結局は自分の方に来てくれないかと願っているだけなのかもしれない。
凛奈
凛奈
ま、そんなのわかんないけどさ
颯太
颯太
ん?凛奈なんか言ったか?
凛奈
凛奈
ううん、なんでも
ボソッと呟いたつもりだったが聞こえていたらしく、とい返されたが聞かれたら言ったら何か言われると思い何も言わなかった。
言ったところでどうという事も無いだろうけど。
彩乃
彩乃
あの二人、どうなるのかしらね
半歩後ろにいた彩乃ちゃんが、足を踏み出し私の隣に来て言った。
それに対してどう返事していいのかがわからず、そのまま黙っていた。
それを察したのか、彩乃ちゃんはフッと笑い前を向いた。
他の人達は心配そうな顔をして、その時を待っている。
狐李斗
狐李斗
じゃあ兄さん、始めるよ
颯太
颯太
おう…、てか何して戦うんだ?
狐李斗
狐李斗
知らないのかい?
狐李斗
狐李斗
その方法は………

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