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第10話

大事なのはアメとムチ

本郷先生から名刺を受け取った私は
頻繁ひんぱんに先生と連絡をとるようになった。


***
本郷 幸人
サイコパスと
よい関係を築くには
自己中心的な性格を
尊重してあげましょう
ひなた
具体的にはどうすれば
いいんでしょうか?
本郷 幸人
例えば、話をよく聞いてあげて
甘やかしてあげて下さい
ただし、叱るときは厳しくです
ひなた
つまりアメとムチって
ことですか?
本郷 幸人
そうです
ひなたさんは飲み込みが早いですね
本郷 幸人
普段からアメを与えることで
いざという時のムチが効きますよ
ひなた
ありがとうございます!
やってみます!
***

先生の言う通り
きょーちゃんは程よく甘やかしてあげると
素直に私の言うことを聞くようになっていった。


例えばとある朝。

2人して遅刻しそうになって
やむなくバスに乗った時のこと…。

一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
(あれ?なんか…お尻に
カバンがあたってる?)
おじさん
はぁはぁ…
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
ひっ!

私の真後ろにぴったりと張り付くように
立っているおじさんが息を荒げている。
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
(こ、これってもしかして痴漢!?)

お尻に当たる違和感に身をよじる。

大声を出す?
でも、まだ確証は持てないし…。

恐怖と不快感でその場から移動しようとした
その時​───。

きょーちゃんがおじさんに声をかけた。
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
おい

彼は私を庇うようにおじさんとの間に割り込み
おじさんの手をひねり上げた。
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
俺の彼女になにしてんの?
汚い手で触んな

彼は遠慮なくギリギリとおじさんの腕を
力強く締め上げる。

おじさんは悲鳴をあげ
苦しそうに涙目になっている。
おじさん
い、痛い!やめてくれ!
私は何もしていない!誤解だ!
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
きょーちゃん!
暴力はだめ…
手を離してあげて!
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
わかった

私が困ったように制止すると
彼は素直に手を離した。

するとおじさんはドアが開いた瞬間
逃げるように走り去っていった。
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
くそっ…逃げ足だけは速いな
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
もういいよ
きょーちゃん
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
よくないよひなた
ひなたに触っていいのは
俺だけなのに、アイツ…
温度のない表情でおじさんが
走っていった方へ目を向ける彼。

私は慌ててアメをあげる。
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
きょーちゃんありがとう!
私を守ってくれたんだよね?
それだけで嬉しいよ
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
嬉しい…?
なら今度からは
誰にも触られないように
ずっと俺の腕の中にいて?
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
う、うん

そう返事をすると彼はふわりと笑って、私の頭をぽんとなでた。



またとある日の放課後では…。
先生
ちょっと一ノ瀬さん?
あなた今週の掃除当番よね?
まだゴミ箱のゴミが残ってるんだけど
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
えっと
私は掃除当番じゃ…
先生
さっさと捨ててきなさい!
これだから彼氏なんか作って
男と遊んでる子は…
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
今、なんて言いました?
先生
あら、黒瀬くんじゃない!
もう学校には慣れた?
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
そんなことどうでもいいです
さっきひなたになんて言いました?
侮辱に聞こえたんですけど

彼は先生に掴みかかる勢いで問い詰める。
先生
く、黒瀬くん?
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
俺の彼女に文句があるなら
今度からは俺に言って下さい
先生
ひっ!
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
きょーちゃん!
もういいから


軽く彼の袖を掴むと
彼は先生に詰め寄るのをやめ
素直にこちらを向いた。
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
もう帰ろう?
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
わかった
先生
あ!ちょっと待ちなさい!
私はきょーちゃんの手を引いて
逃げるように学校を出た。


一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
きょーちゃん
さすがに先生に
噛み付いちゃダメだよ!
あれくらいで
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
あれくらい?
俺にとっては
許せないことだったんだ
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
でもあんな風に詰め寄ったら
きょーちゃんが学校で
問題になっちゃうし
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
そんなのどうだっていいよ
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
ひなたが俺の世界の中心なんだ
だから俺の中心に害をなそうとする人間なんて
いなくなればいい…
無表情でそうつぶやく彼はどう見ても危うい。
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
いなくなれなんて
簡単に言っちゃダメ!
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
私がきょーちゃんを
大切に思うように
その人たちにも
大事な人がいるんだよ
わかった?

諭すように優しく言うと
彼は私の目を見つめてゆっくりうなずいた。

黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
ひなたがそう言うなら
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
分かってくれたなら
よかった
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
じゃあ、ご褒美ちょうだい?


伺うようにこちらを見る彼はまるで子犬のよう。

そうだ、アメをあげなきゃね!
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
しょーがないな

少し背伸びをして、よしよしと頭を撫でると
彼は頬を染めて優しく笑った。


私は心の中で大きくガッツポーズをした。

すごくいい調子!

先生の言う通りにしただけで
まるで彼が狂犬から子犬になったようだ。

一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
(今日は先生にお礼の連絡をしよう!)
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
えへへ…
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
どうしたの?
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
ううん
なんでもない!


躾けはすごく順調みたい。