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2021/09/17

第20話

サイコパスの殺意 side:黒瀬


スマホからひなたの叫び声が聞こえた。
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
きょーちゃん!
お願い助けて!!
その声を聞いた瞬間
俺の中でぷつんと何かが切れた音がした。


俺以外のやつが、ひなたを怯えさせている。
俺以外のやつが、ひなたの泣き顔を見ている。
俺以外のやつが、ひなたを支配している。

俺以外のやつが…!
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
許せない

こんな風に取り乱すなんて思ってもいなかった。

普段の自分はこんなはずじゃない。

なのにふつふつと湧き上がる不快なモノに
突き動かされ俺は家を飛び出した。


黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
ひなたっ!

居場所はすでに知っている。

スマホを取り出し
ひなたのカバンに潜ませたGPSで居場所を確認する。
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
待ってて、ひなた

走っている間
まるで時間が止まっているようだった。

走っても走っても
永遠にひなたにたどり着かないとさえ思えた。

焦燥感しょうそうかん、そして心の中の獣が
暴れまわっているような不快感。



もしかして…これが「感情」なんだろうか?
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
くそ!!
本当に不快だな…!

こんな風に不快なら
感情なんて知らない方がよかった。


ひなたを好きにしていいのは俺だけなのに。

どうやら俺は大きな間違いをしてしまったみたいだ。







​────海辺の廃倉庫。


息を切らしながら目的地に辿り着くと
俺は落ちていた鉄パイプを手に取った。

そして勢いよくガラスを叩き割る。

パリン…!

割れた窓を飛び越えて、ひなたの名前を呼んだ。
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
ひなたっ!
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
きょーちゃん!?

急いで声の方へ駆け寄ると
ひなたは椅子に縛られていた。

ポロポロと綺麗な涙を流しながら俺を見上げる。
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
きょーちゃん…
よかった…
来てくれた…

そう言うとほっとしたように笑って
ひなたはそのまま気を失った。
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
ひなたっ…!

俺はギリリと奥歯を噛みしめて
目の前の男を見据える。

いけ好かない笑みを浮かべながら
あおるように男は言う。
本郷 幸人
本郷 幸人
随分来るのが早かったですねぇ
お楽しみはこれからだったのに
残念です…
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
お前っ!

ひなたを映すように固定されたカメラ。

拘束を解こうとしたんだろうか
手首は擦れて真っ赤になっていた。

そして気を失ったひなたは
まるで死んでいるように見えて…。
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
ダメだ、俺…
思ってた以上に許せないかも
本郷 幸人
本郷 幸人
はい?

ドゴッ。

鈍い音が倉庫に響いた。

男は油断しきっていたのか
しばらく尻もちをついたまま放心している。
本郷 幸人
本郷 幸人
今、な、何を…


じわりと侵食するように
胸の底から沸き上がるどす黒いモノ。
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
なるほど…
これが殺意ってやつなのか?
教えてよ先生
本郷 幸人
本郷 幸人
おい!やめっ…

間髪入れず、俺は馬乗りになって男を殴り続けた。
本郷 幸人
本郷 幸人
おい……はな…が、ちが…
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
黙れ

手の感覚が無くなった頃
俺は力なく転がった男の顔を踏みつけて
自分の手の甲を見た。
自分のものか、相手のものかも分からない
赤い血がべっとりとついている。
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
汚れた
本郷 幸人
本郷 幸人
この…サイコパス…

男はうめくようにそう言って意識を失った。


俺は死体のようにぐったりと気絶したひなたを
ぎゅっと抱きしめた。
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
怖い思いさせてごめん
俺が間違ってた
もちろん返事はない。

でも腕の中でひなたの小さな息を感じて
やっと正気に戻ることができた。
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
よかった生きてる…
一緒に帰ろう、ひなた

ひなたの拘束を解いて
俺はゆっくりと彼女を抱き上げた。


もう二度と間違わない。

黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
一生離さないから…