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第8話

彼は監視対象です

しつけるとは言ったものの
具体的に何をすればいいんだろう?

今朝もまたきょーちゃんと登校しながら
ふと隣を歩く彼を見上げる。

黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
ん?どうしたの?
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
な、なんでもない!


優しい微笑みを向けられ慌てて目をそらす。

そうだ…!

今日1日私が目を光らせて、彼が悪いことをしたら
その時に躾ければいいんだ!
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
(よし!彼をこっそり監視しよう!)
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
…?





キーンコーンカーンコーン。

チャイムとともに最初の休み時間が始まった。

彼は眠そうに大きなあくびを一つして
次の授業の準備を始めた。

すると彼がふとこちらを向いた。
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
わっ!

慌てて目をそらして見てないふりをする。
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
 危ない危ない!
監視してるって
バレてないよね?
星野 優香
星野 優香
監視って?
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
ひっ!

ひょっこり現れたのは優香だった。
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
なんだ優香かぁ〜…
別になんでもないよ
星野 優香
星野 優香
本当に~?
なんか“監視”って
聞こえたんだけど
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
うっ!
優香にはバレバレみたい。
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
実は…今日1日彼を
監視しようと思って
星野 優香
星野 優香
ええー!?
もしかして浮気された!?
私ちょっと黒瀬に文句言ってくる!
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
待った!!違うから!!
早とちりしすぎ!
星野 優香
星野 優香
え、違うの?
監視するって言うから
てっきり浮気されたのかと
思ったじゃん
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
全然違うよ!
なんか…ちょっと…
そう、心配なんだよね!
友だちとかまだ
できてないのかなって…


彼が金属バットを振り回す危ないやつなんて
口が裂けても言えなかった。

今はこのごまかし方でいいよね?
星野 優香
星野 優香
ふ~ん?

にまにまと笑みを浮かべる優香は
私の肩をぽんと叩いた。
星野 優香
星野 優香
なるほど…そっか
ひなたもやっと自分の
気持ちに気づいたんだね
うんうん…
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
え!?
また何か勘違いしてない?
星野 優香
星野 優香
グッジョブひなた!
今日のお昼は彼氏と食べてきな!
私は寂しく一人で食べるからさ
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
えっ?ちょっと優香!?

グスンと泣くような仕草をしながら
優香は席へ戻っていく。

何か大きな誤解をされている気がするけど
私の声はチャイムにかき消されてしまった。





​────そして昼休み。

優香が意地でも一人で食べると言うから
私は思い切って彼を誘ってみることにした。

黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
え!?お昼を一緒に!?

ガタン!と音を立てるように
椅子から立ち上がったきょーちゃん。

あまりの大声に周りの視線が彼に集中した。

まるで大型犬のように
ブンブンとしっぽを振る幻覚がみえる。
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
(そ、そんなに喜ばなくても…)

満面の笑顔を浮かべる彼は私の手をとり
おすすめの場所に案内してくれた。





​───そこは少し風が強い屋上だった。
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
ここって入っていいの?
誰もいないけど…
 
そう言うと彼は首をかしげて
しーっと口元に人差し指を当てた。

そして強引に腕を引かれ、彼の隣に座らされる。
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
実は、弁当自分で作ってるんだ
ひなたも一口どう?

彼のお弁当は結構色鮮やかで
やけに整列した卵焼きが印象的だった。
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
いいの?
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
はいあ~ん
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
じ、自分で食べられるよ!
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
じゃあさ
今日のご褒美で
食べさせる権利くれない?
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
ご褒美って?
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
今日ずっと俺のこと
見てたでしょ?
なら今日は俺がいい子に
してたこと知ってるよね?
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
バレてたの!?
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
そりゃあんなに熱烈に
監視されちゃね…
トイレまでついてくるんだもん
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
まぁ、ひなたがずっと
俺を追っかけてくるの
面白かったからいいけど
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
気づいてるなら
言ってくれてもいいのに…
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
ヤダよ
だって、ひなたが
俺のことで必死になってるの
最高に可愛かったし
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
か、可愛いって… うぐ!

彼は甘い笑みを浮かべて
口の中にプチトマトを押し込んできた。

甘ずっぱいトマトが口の中で弾けて
思わず口元からこぼしてしまう。

すると彼はすっと真顔になって小さくつぶやいた。
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
なんか血みたい
結構クるかも…
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
へ?
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
俺さ、トマト好きなんだよね
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
う、うん?
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
噛んだらぴゅって
甘酸っぱい赤い汁が
でてくるところとか、いいなって
ひなたも噛んだらトマトみたいに
赤い血が出ちゃうのかな?
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
試していい?
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
え!?

次の瞬間、突然腕を掴まれ
かぷりと手の甲を噛まれる。
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
いっ!
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
ごめん、痛かった?
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
や、やめ…

あまりのことに言葉が出ず、冷や汗が背を伝う。
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
やめてほしい?
なら、俺のこと好きって言って?

な、何がどうなってるの?

ダメだ!!
知らない内にまた彼のペースだ…!

ちゃんと躾けなきゃ!
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
い、嫌がることはしないで!
ダメ!ステイ!ハウス!
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
嫌なの?
好きって言うのが?
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
そうだよ!!
こんなことする
きょーちゃんなんて
好きじゃない!

とっさに口走ってしまって後悔する。

黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
…そ、そっか

彼はすごく傷ついた顔でうつむいた。