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2021/10/15

第24話

サイコパスの策略 side:黒瀬



俺は自室の電気をつけた。

部屋の壁にはとある計画がびっしりと書かれてある。
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
やっとここまできた

そう、これまでのシナリオはすべて俺の策略通り。


壁の中央にはプロジェクターでひなたの
GPS情報が映し出されている。

家族の生年月日や友達の家の住所まで。
ひなたに関わるすべての人間を調べ尽くした。

そう、全てはひなたを手に入れるため。
俺はあらゆる情報を集め裏で手を回してきた。
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
そういえばこの部屋
ひなたが入ろうとしたことあったっけ
あの時は本当焦ったな…



​─────
​───
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
部屋はダメ
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
え?
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
実は掃除してなくて恥かしいんだ

​───
​─────

こんなものがバレたら
きっとひなたはまた俺から離れていく。


思い返せばあやうい瞬間は何度もあった。
壁の字をなぞりながら一人つぶやく。
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
佐藤のグループを殴った時
見られるはずじゃなかったのに…
まぁ、偶然助けた生徒を脅して
手紙を書かせたからよかったけど

あの手紙は俺の印象をよくするために
わざと書かせたものだ。

ひなたは気づいてないけど。
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
わざとひなたと別れるために
キツイことも言ったっけ…

ひなたを遠ざけたのも計画の範囲内。
面倒な段階を踏んだからこそ手に入るものもある。

それはひなたの心だ。
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
俺ばっか好きなんて不公平だからさ


それがやっと今日、本当の意味で手に入った。

まさかひなたが自分から
「好き」と言ってくれるなんて。

ひなたの真っ赤な顔を思い出して
自然と口角があがる。
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
俺、けっこう演技得意かもな


たしか、あれは一ノ瀬家での夕食の時。

同情を誘うために食卓にあったわさびを
こっそりと口に含み涙を流した。


​─────
​───
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
あ、あれ?おかしいな…
楽しいはずなのに
…なんで涙なんかっ
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
きょーちゃん…
​───
​─────

我ながらよくウソ泣きがバレなかったと自嘲じちょうする。
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
何も知らずに心配するひなた
可愛かったな…
それにあの時だって…

ひなたとの思い出を反芻はんすうしていた時
ピリリリ…と耳障りな着信音が鳴った。


ため息をついて電話に出ると
相手は心底ほっとしたような声をあげた。


本郷 幸人
本郷 幸人
はぁ…やっと出た
黒瀬くん、私に何か
言うことはないですか?

俺が黙っていると男は呆れたように続ける。
本郷 幸人
本郷 幸人
私はただ連続殺人犯を
演じただけですよ
なのにどうして殴られなきゃ
いけないんですか?
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
いや…まあ、つい
本郷 幸人
本郷 幸人
つい!?
そういうところが
サイコパスなんですよ
君の治療のためにわざわざ
日本まで出向いて協力したのに…

この男は海外の施設に入れられた頃から俺の
主治医をしている。

もちろん連続殺人犯とは全くの無関係だ。


偶然にも街で連続殺人が起き、俺はそれを利用した。

連続殺人、被害者、友達、担任、クラスの男子、
心理学者の主治医、そしてヒロインのひなた。

役者は揃っていた。



つまり、この男はひなたを手に入れるために利用した
ただのキャストにすぎない。
本郷 幸人
本郷 幸人
そもそも計画を立てたのは君なのに
殴るなんてあんまりです
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
俺以外のやつにひなたが
あんな可愛い怯え顔をみせてたから
耐えられなくて
本郷 幸人
本郷 幸人
はい?
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
わざと危ない目にあわせて
俺が助けなきゃ
ひなたは俺を選んで
くれなかったはずだし
本郷 幸人
本郷 幸人
まったく…
ひなたさんのこととなると
すぐこうなるんですから
本郷 幸人
本郷 幸人
心理推移のデータはとれたので
よしとしましょう
まだ治療は終わってないので
早くこっちに戻ってきてくださいね
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
嫌です
本郷 幸人
本郷 幸人
はい!?
約束と違うじゃないですか
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
まだ…
計画は終わってないから
本郷 幸人
本郷 幸人
え!ちょ…


ぶつりと話の途中で通話を切る。

どうせ治療しても治らないのに
施設にいる必要はない。

きっと今頃、施設から逃げ出した俺を
親が血眼になって探しているだろう。

黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
(いや、そもそもあいつらは
俺に関心すらないか…)

ひなたは何も知らない。

無知なまま、俺が舗装した
幸せな道を歩くことになるだろう。

黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
これまでも、これからも、ずっと…





​───サイコパスとは
パーソナリティ障害の一種である。

主な症状として感情の一部
特に他者への愛情や思いやりが欠如しており
自己中心的な存在である。


現状では明確な治療法はまだない。

黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
あと少しで夢が叶う

俺は一人笑顔を浮かべ、部屋の電気を消した。