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第7話

サイコな彼を躾けます!

きょーちゃんの金属バット事件の翌日。

私は休日のおかげで
彼に会わなくて済むことに心底ほっとしていた。
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
(きょーちゃんが…
あんなことをするなんて)

血の着いたバットを引きずる彼を思い出し
ゾッとする。
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
このままじゃダメだ…!

たとえ彼が例の連続殺人犯じゃなくても
あんなことしちゃいけないよ!

彼女の私がなんとかしなきゃ。

湧き上がる正義感で自分を奮い立たせ
私は本棚の奥から一冊の本を引っ張り出した。
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
あった!

『子犬のしつけ方』

それは小さい頃に飼っていた
ポン太のために買った本だった。

一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
よしっ!
これ以上サイコパスな彼が
悪の道へ進まないように犯罪を阻止しなきゃ!

私は本を抱きしめ、きょーちゃんを
まっとうな人間に躾けることを心に誓った。

と、その時​──。


ピンポーン…ピンポーン…ピンポーン…

一定の間隔で玄関のチャイムが鳴り響く。
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
はーい!

急いで玄関のドアを開けると
ぬっと現れたのは紛れもなく彼だった。
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
ひな…
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
ひっ!

とっさにドアを閉めてしまって後悔する。
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
ひなた?開けて?

静かな声がドアの向こうから聞こえてきて
私はごくりと息をのんでからそっとドアを開けた。
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
きょ、きょーちゃん?
急にどうしたの?
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
昨日のことで話があって…
やっぱり…
俺のこと怖いよね?
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
え?

彼はその場から一歩も動かず不安そうな顔で俯いた。
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
俺のこと嫌いになった、よね?
すがるような瞳を向けられ、慌てて答える。
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
嫌いじゃない!けど…
もうあんなことはやめて
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
ひなたは何も知らないんだ…
あいつら他クラスの生徒を
イジメてたんだ!
だから俺はそれを助けただけ!
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
理由はどうであれ
あんなケガさせたってバレたら
きょーちゃんが
退学になっちゃうんだよ!

そう言うと、なぜか彼はぱっと笑顔になった。
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
俺の事心配してくれたんだ?
嬉しいな
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
そういうことじゃなくて!
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
ちょっとは褒めてくれても
いいんじゃない?
俺、いいことしたんだよ?
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
いいことって…
あれは流石にやりすぎでしょ!
暴力はダメだよ!
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
なんで?

彼は心底意味がわからないという顔で
首をかしげた。
きょーちゃん、暴力が悪いことだって
わかってないんだ…。

ドアノブを握りしめた手にじわりと汗がにじむ。

怖いけど、彼女の私がしっかりしなきゃ!
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
わかった
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
え?
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
今日から私が
きょーちゃんを躾けてあげる!

まるで一世一代の告白のように
勇気をだして彼に宣言した。
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
ふーん?躾け…か

彼は何かを考えるように無言になった。
そしてまたぱっと心底嬉しそうな笑みを浮かべた。
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
うん!
俺、ひなたの言う事なら
何でも聞くよ!
でも…

突然ぐっと近くなる距離。
彼が楽しそうに私の耳元で囁く。
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
ちょっと一方的だよね?
だから、ひなたの言うこと聞いたら
俺にご褒美ちょうだい

吐息が耳にかかり一気に顔が熱くなる。
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
なっ!ご、ごほうび!?
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
ひなたってもしかして耳弱い?
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
よ、弱くないっ!
そこにおすわり!!

まるで子犬に言うように慌ててそう叫ぶと
彼は素直にワンと答えてその場にしゃがみこんだ。
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
はい!言うこと聞いたよ?
さっそくご褒美だね
犬だってエサを貰えるんだから
俺にもくれるよね?


くぅ~ん…と鳴きそうな上目遣いでそう言われ
私は恐る恐る彼の頭を撫でた。
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
よ、よしよし!
これでいい?
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
ありがと

幸せそうに笑う彼に少しだけ
ドキリと心臓がハネる。

思わず私までほほえみそうになりはっとする。

いやいやいや!ちょっと待って!!

完全に彼のペースに流されてない!?
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
やっぱ足りないかも

混乱真っ最中の私の隙をついて
彼は私の手を取り軽いキスをした。
一ノ瀬 ひなた
一ノ瀬 ひなた
えっ!?
き、きすした!?
黒瀬 恭平
黒瀬 恭平
ご褒美は俺が
満足するものじゃないとね


くすりと笑う彼に私は頭を抱える。


なんか、思ってたのと違う…!


私はとんでもない狂犬を
躾けることになってしまったのかもしれない。