第6話

修学旅行
1,809
2023/03/25 02:47
 
 中間テストの結果は、惨敗だった。
 なんとテスト範囲が変わっていたのだ。それもE組には通達をしていなかった。きっと皆、テスト範囲が変わっていなかったら、50位以内を取れていたと思う。
 先生は落ち込んでいたけれど、カルマを始めとしたE組生徒で殺せんせーをE組に留めることが出来た。殺せんせーが出ていかなくて良かったと思う。
 そういえば、私のテスト用紙もカルマに持っていかれた。まあ、役に立ったらしいから良いのだけれど。
 けれど、私たちにテストの余韻を感じている暇はなかった。そう、もうすぐ修学旅行なのだ。
 
 
「カルマ君、同じ班になんない?」
 カルマと話していたら、渚がカルマを同じ班に誘っていた。私もカエデから同じ班の誘いを受けていたので、必然的にカルマと同じ班になりそうだ。
......うう、ちょっと嫌だなぁ、せっかくの修学旅行で暴力沙汰とか嫌だよ?
 杉野も同じことを思っていたようだが、渚の「気心知れてるし......」にも同意するので、もう諦めることにする。
 いかにカルマに不良を煽らせないか考えていると、神崎さんも班に加わることになっていた。とても嬉しい。かわいい子は大歓迎だ。
 その後私たちはどこを観光するか話し合っていた。私はどんどん修学旅行が楽しみになってきた。
 
 
修学旅行当日。皆と修学旅行を楽しむのも良いけど、もしかしたら京都にいるかもしれないリヴァイ兵長を探す、絶好の機会だ。
 新幹線はA組からD組はグリーン車で、E組だけ普通車だった。まあ、私はどっちでもいいけど。その事について、誰かが言っていた。
 お金は成績優秀者に回される、と。そしてE組からは貧乏の香りがする、と。けれど成績優秀なのと貧乏なのは関係ないのでは?
......あれ、私成績良かったはずなのにな。わかんない
 私頭悪いのかも。と思っていたが、カエデが「あなたの方が頭良いっての!」と言っていたので、私は頭が良さそうだ。良かった。
 
 
 無事京都に着いた私たちは、神崎さんの希望コースへと来ていた。
「一見さんはお断りのお店ばかりだから、目的もなく、ふらっとくる人も居ないし、見通しが良い必要もない。だから私の希望コースにしてみたの。暗殺にぴったりなんじゃないかって」
 さすが神崎さんだ。国家機密の殺せんせーを暗殺しようとしているのを見られる心配がない。本当に暗殺にぴったりな道だ。
「マジ完璧、何でこんな拉致りやすい場所歩くかねぇ」
 前から不良が数人出てきた。そして後ろからも不良の声がした。振り返るとと案の定、不良数人が私たちを囲んでいた。
 カルマが不良を一人倒しているうちに、後ろの私たちが不良に拐われそうになった。だが私は男一人に負けるような女じゃない。
 訓練兵のときだって、対人格闘術は手を抜かずに真面目に取り組んだ。お陰でリヴァイ兵長ともやりあえるくらいには強くなった。まあ結局兵長が勝つのだけれど。
「触んな、気色わりぃ」
 手始めに触ってきた一人を倒した。だが、それを見た不良たちは、私を四人係で襲ってきた。回りには班の皆もいるので、あまり派手に倒せない。
「くそっ、、、」
 結局私は拘束されてしまった。
 
 
 私たちは、不良に車に乗せられ、近くの廃ビルに連れ込まれた。
「おめぇ、どっかで見たことあるって思ったんだけどぉ、これさぁ、おめぇだろう」
 そう言って見せてきたのは、派手な格好をした神崎さんだった。
「......さっきの写真、真面目な神崎さんでもああいう時期があったんだね」
「ちょっと意外だった」
「うん、うちは父が厳しくてね、良い学歴、良い肩書きばかり求めてくるの。そんな肩書き生活から離れたくて、名門の制服も脱ぎたくて、知ってる人がいない場所で、格好も変えて遊んでたの。」
 喋っている神崎さんの瞳には、ハイライトがなかった。
「バカだよね、遊んだ結果得た肩書きはENDのE組。もう自分の居場所がわからないよ」
 そう神崎さんが言い終わった後、不良が私たちに話しかけてきた。
「オレらの仲間んなりゃ良いんだよ。オレらも肩書きとか死ねって主義でさ、エリートぶってる奴らを台無しにしてよぉ、なんつうか、自然体に戻してやる? みたいな。オレらそういう遊びたくさんしてきたからよ」
 痴漢の濡れ衣着させたり、女の子をレイプしたり、私の同期よりも酷いことをしている。すべて犯罪だ。
「最っ底」
「お前らクソだな」
 リヴァイ兵長直伝の煽り文句だ。カエデは本当にそう思ったから言ったんだろうけど、私は挑発も込めて口にした。
 こう言えば大抵のチンピラは挑発に乗ってくる。ほら、不良って大体頭悪いから。
「......なにエリート気取りで見下してんだぁ? ああ? おめェもすぐに同じレベルまで落としてやんよっ」
 不良はカエデの胸ぐらを掴んだ。
「カエデっ!」
......っえ! 私じゃないの? クソだよ? クソって言ったんだよ?
「いいかぁ、宿舎に戻ったら涼しい顔してこう言え、楽しくカラオケしてただけです、ってなぁ。そうすりゃだぁれも傷つかねぇ、東京に戻ったらまた皆て遊ぼうぜぇ、楽しい旅行の記念写真でも見ながらぁ、なぁ......よぉ」
......あ~、気色悪い、この笑い方。さっさと黙らせよ。
「っし、切れた!」
私は個性でナイフを使って縄を切っていた。ちゃんとバレずにできてよかった。
「っな!? お前、なんっ......」
「黙れ、糞豚野郎」
 私は目の前にいた不良を背負い投げした。そして他の不良が戸惑っている間に二人の拘束も解いた。
「二人とも、絶対に捕まらないようにね。後、私からできるだけ離れないで」
「う、うん」
「っ、わかった!」
 二人がうなずいたのを見て、私は両手に刃を出した。立体起動装置は出していない。さすがに説明がめんどくさいから。 
「んな、剣っ!?」
「私に近づくなよ、あと、後ろの二人にも。もしそこから一歩でも動いてみろ、うっかり首を跳ねちゃうかもしれないから」
 そう言って私は近くにあった段ボールの山を一瞬で八つ裂きにした。
「う、うるせぇ!! そんなことしても、お前なんかじゃ絶対に敵わない! 今先輩らが来てんだ!」
......どれだけ来ても大して変わらないのにね?
「ガチャ、ギィィィ......」
「ほっほら、! うちの撮影スタッフだ! ただの撮影係じゃない! お前なんかよりも何倍も強い奴らだ!」
「......ビーピー、ピービー喚きやがって。うっせぇんだよ、勝手に言ってろ。この豚野郎共」
 リヴァイ兵長ならもっと黙らせることできるんだろうけど、私には無理そうだった。残念だ。体で分からせるしかないらしい。
「おいっ、この女が......て、えぇ!?」
 暗闇から、ボコられた不良が投げ出された。
「修学旅行のしおり、1243ページ。班員が何者かに拉致られたときの対処法。犯人の手がかりがない場合、まず、会話の内容や訛りなどから、地元の者かそうでないかを判断しましょう。地元民ではなく更に学生服を着ていた場合、1344ページ。考えられるのは、相手も修学旅行生で、旅先でおいたをする輩です」
 
すごく長くなりました。ごめんなさい。
主人公ちゃんは喧嘩などをするとき、口が悪くなります。リヴァイの口調を真似てるので。喋り方はリヴァイからナンパ対策に教えられました。

次回、修学旅行2
 

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