第125話

良い機会に…
2,050
2020/06/08 21:37
あなたside

廊下を走る音が聞こえる。山ちゃんが部屋に戻ったのかな?



静かにリビングに戻ると、テーブルに私のスマホが置かれていた。もちろん、電話は終了していたけど、LINEのトーク画面を見ると、圭人から連絡が来ていた。

~LINE~
岡本圭人
電話終わったよ!
なんか、泣いてるっぽかったけど、大丈夫だったかな?
泣いてる?え、そんなに感動的な内容を話したの?
あなた

私は、分からないけど…

あなた

てか、どんな話したの?

岡本圭人
それは言えないな~
あなた

うわー、なんか圭人が怪しいぞ??

岡本圭人
え!?俺、なんもしてないよ!
あなた

大丈夫、疑ってないよ笑

あなた

まあ、山ちゃんも色々あるんだよ。

岡本圭人
そっか。
あなた

今日はありがとね!

岡本圭人
全然!久しぶりに、山ちゃんの声が聞けて嬉しかった!
あなた

それは良かった!んじゃ、またね!

岡本圭人
うん!
泣いてたのかな……?うーん、分かんないや。


ま、とりあえず、圭人も喜んでくれたし!



……あれ?これって…?


カーペットの一部がいくつかの小さな丸で濡れていた。


あぁ、そっか。やっぱり、そうだったんだ。

泣いてたんだ。

山ちゃんも、色々あるよね。



泣きたくなることも、あるよね。



私もある。泣きたくなること。

寿命が縮まって、みんなとの活動期間もおのずと短くなっちゃって。本当は、みんなに伝えた方が良いのかもだけど、まだ知られたくなくて。知られたら、みんなからの対応が変わっちゃうんじゃないかって。

色々悩んで毎日過ごす。


山ちゃんも山ちゃんで、悩んでるんだろうな。

今までその悩みは圭人を含むメンバーが居たから、解決できてたのかもしれない。


私には分からないし、その悩みとか不安を取り除くことは出来ないかもしれないけど、今日の電話でちょっとでも変わっていれば良いな。

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