第144話

なんでなの
1,995
2020/06/25 21:50
あなたside
あなた

うん。ごめん。

体が動かなくなった。

それだけの理由で、無理やり伊野ちゃんを部屋から出してしまった。

せっかく呼びに来てくれたのに。



伊野ちゃんが部屋から出て、一人になる。

ベッドに横たわる動かない体。


なぜだか涙が出てきた。


理由は多分、悔しかったから。



なんで、私がこんな目にならなきゃいけないの。


よりによって、なんで私なの。



悔しくて涙が止まらない。




声を出すとバレるから、声を殺して泣く。


泣いたって何にも解決しない。


そんなことは分かってるけど、今は泣くしかない。



おじいちゃんからの手紙には、正直になれとか、周りに頼ったり甘えたりしろって書かれていた。


ごめん、おじいちゃん。この病気のことは誰にも言うつもりはないの。

だから、これだけは一人で戦わせて。


一人で戦えばどうにかなる訳じゃないけど。




あーあ、早く泣き止まないとなのに……。
あなた

っ……なんでっ……

本当に……嫌になってくる………



 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
山田side
有岡大貴
伊野ちゃん遅くね?
中島裕翔
あなたと話してるのかな?
八乙女光
他は全員揃ったんだけどな~
ガチャ
山田涼介
あ、伊野ちゃん……あなたは?
伊野尾慧
後で来るって。先に食べてて良いらしいよ。だから食べとこ。
髙木雄也
え、あぁ…うん。
視線を落として、淡々と話す伊野ちゃん。


テキトーな感じでも、ふざけた感じでもなかった。


いつもの伊野ちゃんじゃなかった。
伊野尾慧
ほら、食べよ。
薮宏太
伊野尾、なんかあったの?
伊野尾慧
……。
知念侑李
あなた関係じゃないの?
伊野尾慧
…俺らが何か出来ることじゃねぇよ。
山田涼介
…どういうこと?
伊野尾慧
……あなたのことだよ。言ったところで何も出来ないから、言わない。
きっと伊野ちゃんはあなたの何かを知っている。

でも、今の伊野ちゃんには、何を言っても無駄かもしれない。あなたが来るまで、静かにしていよう。
山田涼介
そっか…。んじゃ、食べよっか!
無理やりにでも、この雰囲気を変えないと。









だって、俺はHey!Say!JUMPのエースなんだから。

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