あなたside
ピピッ_
こんなに早く目覚まし時計を止めたのは初めてかもしれない。普段なら「ピピピッ」を5回は続ける。
それもそのはず、全然寝れなかったから。
ベッドに入ってもいつまで経っても寝れなかった。
そのまま朝になっちゃったし。
ちょっと昨日は色々ありすぎた。
まさか、大ちゃんから告白されるなんて思わないじゃんか……
私が鈍感すぎるのか、それとも大ちゃんが隠すのが上手なのか……はたまたどっちもか……。
そんなこと考えても何にもならないか。
リビング行かなきゃ……
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山田side
ねみぃ。非常にねみぃ。
でも結構ぐっすり寝れた。なんでまだ眠いのかな…
あなたが遅いなんて珍しいな。
まぁ、大ちゃんは予想通りだけど。
あー、大ちゃんときちんと話せない気がする……
寝れないって……なんかあったのか?
大ちゃんと喧嘩した俺の方は寝れたっていうのに。
意外と大ちゃんは大丈夫そうだった。
でも、大ちゃんがあなたの横を通るときにあなたに向かって何かを言っていた。
会話じゃなくて、一方的に大ちゃんがポロっと言っただけ。
その瞬間、あなたは下を向いた。心なしか、耳を赤くしながら。
詳しく聞き取れなかったけど、多分、大ちゃんは
"昨日はごめん"って言ってた……気がする。
あなたと大ちゃんに何があったんだ……?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!