あなたside
山ちゃんが部屋から出たあとに気付いた。
そういえば、おじいちゃんからの手紙を最後まで読んでいない。
無造作に封筒に戻した手紙を取り出して、3枚目を読み始める。
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おじいちゃんからの、最後のお願い。それは、
正直になりなさい。
正直になるっていうのは、自分の気持ちを閉じ込めないようにするということ。嫌なときは「嫌だ」と言う。辛いときは「辛い」と言う。これは悪いことじゃない。むしろ素晴らしいことだ。自分に正直になれないと、今までおじいちゃんが挙げてきたお願いを、どれも叶えることが出来なくなってしまう。どうか、自分に正直になって、より良い自分を見つけてほしい。
ここまで4つのお願いをしてきた。「出来ない。」なんて言わないでほしい。おじいちゃんは、あなたが出来ると思ってお願いしている。あなたを信じている。ただし、無理はしないように。
後悔のない人生を過ごしなさい。きっと、素晴らしい景色を見ることが出来る。
おじいちゃんは、あなたの味方だ。
いつまでも、あなたを応援している。
ジャニー喜多川より
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読み終わると、いつの間にか、手紙に丸く濡れた後が出来ていた。
またも、私は泣いていたようだ。
おじいちゃんからの手紙は、山ちゃんの言ってることと、驚くほど重なっていた。
二人が揃って言うということは、それだけ、私に足りていないものということ。
これは、しっかりと守らないとな。
それにしても、今日はよく泣く日だったな笑
近くにあった手鏡で顔を確認する。
一人なのに、思わず声が出てしまった。
おじいちゃんの声が聞こえた気がして振り向くけど、誰も居ない。
幻聴が聞こえる私は、いよいよおかしい。
普通ならそう思ってしまう。
でも、身内が亡くなっても泣けなかった私が、おじいちゃんのことを考えて、泣いて、笑えるようになれた。そう思うと、おじいちゃんの声が聞こえるというのは、むしろ成長したんじゃないかと思う。
今も、おじいちゃんは私を見守ってくれている。
そんなおじいちゃんの期待を裏切りたくない。
手紙の内容は、"私なりに"絶対に守る。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。